前の記事でも引用した小出先生のインタビュー(5月10日午後)
http://hiroakikoide.wordpress.com/2011/05/10/iwakami-may10/
で、3号機の温度上昇への懸念について議論されています。
・(3号機の温度が上昇している。これは何か?東電は原因不明としている。先日夜中に煙が上がった。)【音声中断】
333度ということだが、通常運転中も二百何十度にしかならない。300度以上は異常。温度は発熱と除熱のバランスで決まる。これまで何とか維持してきた温度が上がっているのは異常なことが起きているということ。水が入っていない可能性もある。東電はそう推測している。が、333度は尋常でない。たとえば原子力学会が推測するように、溶けたウランが圧力容器の底にきているとしたら、その部分の温度が上がるというのは考えられる。
・(劇的なシナリオは、水位が下がることによって起こるということだった。3号機で発熱の原因が増えているということかもしれない。または、水漏れがひどくなったという可能性もある。何らかの事情で破損が拡大した等。)その可能性もあるが、炉心の水位は変わっておらず、一定の水はある。データが本当とすればだが、水漏れがひどくなったとは考えられない。
333℃というのは、「圧力容器の胴フランジ」の温度です。
胴フランジとは、圧力容器上部の本体と上ぶたの接続部分のことです。
(しかし、こんなところに温度計をつけるものなのでしょうか?化学プラントではまず考えられませんが。)
圧力容器の設計温度は300℃ですので、それを超えてしまっているという、きわめて危険な状況です。
この間、「原子炉温度」も上がり続けています。
(3号機はMOX燃料を使ったプルサーマル発電です。関係するかどうかわかりませんが、念のため。)
http://atmc.jp/plant/temperature/?n=3
ところが、3/10になって胴フランジ温度は一気に下がりました。
5/9 17:00 332.9℃ → 5/10 11:00 121.5℃
これに伴い、原子炉温度も若干は下がり傾向になったようです。
5/9 17:00 216.4℃ → 5/10 11:00 214.5℃
http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/f1/images/032_1F3_05101300.pdf
結果的には良かったのですが、安全保安院の会見では、なぜ下がったのかその原因ははっきりしないとの頼りない答弁がされています。
(NHKおかだ 3号機温度パラメータ極端に下がった信用性、それ以外のところは横ばいか下回っている)保安院「はっきりとした要因はわからないが7から9に増やして成果わからなくて水の周りがないのではと考えていたが何らかの形で成果出したのではと ルート取り替えて給水系安定したラインで」
東電も保安院も小出先生でも原因がわからないのですから、小職では温度上昇も温度上昇・低下の原因はわかりません。
しかし、最近、原子炉そのものから注意が離れがちですが、依然として全く安心できない状況であることだけは改めて認識されました。