福島第一原発 地上からの高さと放射線量 | ナンでもカンでも好奇心!(tomamのブログ)

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硬軟取り混ぜた種々雑多なネタについて書いてみようかと思います。
全くまとまりがないと思うけど、それが自分らしさということで。。。

ソフトバンクの孫社長のツイッターで、孫さん自身や一般の人による放射線量の測定値が、政府発表の値に比べて倍近く高いことが話題になっています。

関連して、モニタリングポストの地上からの高さについて、こんな記事をみつけました。

http://www.asyura2.com/11/genpatu9/msg/715.html

(転載開始)
2011/04/21(木) 22:31:10.89 ID:gKfVEk4t0
569 :名無しさん@お腹いっぱい。(catv?) :sage :2011/04/19(火) 18:23:54.03 (p)ID:5aU6NFgt0(6)
ガイガーもってないもんで、何かのお役に立てればと
各県のモニタリングポストの地上からの高さを電話で聞いてみました
なんぞのご参考に。。。

※各県のご担当課の方々どうもありがとうございます
 もしかすると県民に有益な情報だと思いますので。。。


県     区・市町村     MP地上からの高さ
=================================
茨城県 北茨城・高萩・大子 約1.3m(可搬型)
     その他         約2.7m 
栃木県 宇都宮           20m
     その他         ビル屋上
群馬県 前橋            20m
埼玉県 さいたま          18m
千葉県 市原          約6~7m
東京都 新宿             18m
神奈川 横浜             23m
==================================

全国のモニタリングポストの結果だが
人体の身長である1メートルから2メートルで計測してないから信用できない
公表されているデーターが役に立たない件

(転載終わり)


政府発表の放射線量は、地上からこんな高い場所で測定していたのですね。


それからこんな動画も発見。

地上1.5mで測定したときに 1.2μSv/h だった放射線量が、地表すれすれで測定すると、21μSv/h にまであがっています。

http://www.youtube.com/watch?v=fUjidNs9Pfo


人を怖がらせるのに十分な映像です。



ここで、いくつか科学的な考察を。


放射線は、ヨウ素131とかセシウム137とかの放射性物質(放射性同位体)から出ています。


放射性同位体と、放射性を出さない安定な同位体とは、原子核の中の中性子の数が異なりますが、化学的性質は同じです。したがって、各元素の化学的性質を知ることが大事です。


セシウムはナトリウムやカリウムと似た「アルカリ金属」であり、金属セシウムの状態では不安定で、水酸化セシウムやヨウ化セシウムの形になっているはずです。


これらは、常温では固体です。水には溶けやすく、セシウムの陽イオン(Cs+)と、水酸化物イオン(OH-)やヨウ素イオン(I-)とに分離(電離)します。


一方、ヨウ素は複雑です。単体のヨウ素(I2)としても存在できるし、ヨウ化セシウム(CsI)のようなヨウ素化合物にもなるし、ヨウ素が水に溶けると次亜ヨウ素酸(HIO)になり、さらにヨウ化メチル(CH3I)ともなっているらしいです。(ヨウ化メチルがどうやってできるのか私はよくわかりません。微生物???)


このうち単体のヨウ素は、融点113.75℃で常温では固体です。しかし、昇華する(固体から直接気体になる)ことからわかるように、ある程度大きい蒸気圧を持っていますので、微量であればガスとして空気中に存在することもできます。


さて、これらの放射性物質のうち、固体のものは、微粒子になって空気中に漂います。そのうち比較的大きなもの(ざっと直径10μm=0.01mm以上)は、風がやむと次第に重力で地面に落ちてきます。地面に落ちると、水分に溶けたり、土に吸着したりして、そこから動かなくなります。

雨が降ると、次第に地中の深い場所に侵入していきます。


一方で10μmより小さい粒子は、重力ではほとんど落ちてきません。いつまでも空気中を漂います。

また、気体状のヨウ素は、空気に混ざって分離されることはなく、地上に落ちてくることはありません。


さらに、もともと大気中に飛んでいる微粒子(土ぼこりや綿ぼこり、花粉など)に、放射性物質が付着することもあるはずです。というか、これが最も多いケースのような気がします(推定ですが。)



以上のように、放射性物質にはさまざまなモノがありますが、要するに、それぞれその性質により地面と空気中とに存在します。


そして現在のように新たな放射性物質の大気中への放出がほとんどない状態(と思います)では、放射性物質が降り積もった地面が最も放射性物質の濃度が高くなっています。


さて、地上1.5mで測定したときに 1.2μSv/h だった放射線量が、地表すれすれで測定すると、21μSv/h になったいう動画について考えてみます。

よく、「放射線量は、距離の二乗に反比例する」と書かれています。
この通りだと、地面から1cmと150cmとでは、20,000倍の差がでるはずです。

まず、ここで測定している放射線量は、空気中に漂っている(または気体状の)放射性物質からのものと、地面に存在している放射性物質からのものとの和になっているはずです。この点をまず考える必要があります。

そして、地面からの距離と関係するのは、もちろん後者だけのはずです。

さて次に、「距離の二乗に反比例」ですが、これは、点状の放射線源の場合には正しいです。一点から放出される放射線は球状に広がるので、その表面積を考えれば、強度が距離の二乗に反比例することは理解できます。

しかし、地面に放射性物質が広がっているような場合にはどうでしょうか?
結論は、理想的には「距離によらず一定」になります。

「面光源」と考えればよいので、考え方は下記のようなサイトで確認ください(手抜き・・・)。

http://www.geocities.jp/buturiyag3/01-01.htm

http://komachi.yomiuri.co.jp/t/2008/0516/183788.htm?o=0

では、そうだとすると、逆になぜ地面から離れるほど、放射線濃度は下がるのでしょうか?

これは放射線のうち、主にベータ線(電子の流れ)は空気の分子と衝突して比較的短い距離で散乱してしまうからのようです。およそ10cm程度と書かれているサイトもありました。
またガンマ線(電磁波)も、空気の分子と相互作用して減衰するようです。
(なお、アルファ線や中性子線はほとんど出ていないはずです。)

すなわち、放射線は地面からの距離によって広がって薄まるのではなく、空気の分子との作用によって減衰する、というのが正しい理屈です。

で、それが地表すれすれと高さ1.5mとでおよそ10倍という違いの要因となっています。
地面から距離が離れるほど、地表の放射性物質の放射線の寄与は小さくなり、空気中を漂っている微粒子と気体状の放射性物質からのみの放射線量になるはずです。

最初の方に紹介したようにモニタリングポストが高い位置にあるのは、これを期待して、あえて高いところに設置しているのでしょうか。

しかし、その数値は、人の高さでの値に比べて低く測定されています。
孫さんのツイッターによると、東京の場合で、およそ2倍とか。

さらに地面からの距離が近いほど、放射線量は高いので注意が必要です。

小さい子どもさんの高さでは、公表されている数字の数倍の放射線量になっているものとして、気をつける必要があります。