福島第一原発 格納容器を水で満たす「水棺」? | ナンでもカンでも好奇心!(tomamのブログ)

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硬軟取り混ぜた種々雑多なネタについて書いてみようかと思います。
全くまとまりがないと思うけど、それが自分らしさということで。。。

17日に東京電力が発表した福島第一原子力発電所の事故の収束に向けた工程表について、経済産業省の原子力安全・保安院が見解を発表しています。

その中で1号機と3号機は、格納容器を水で満たし、空気による冷却装置で冷やす方法が有力だと。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110418/t10015394791000.html

原子力安全・保安院の西山審議官は、18日の記者会見で、東京電力が公表した工程表の内容や課題な どについて認識を示しました。1号機と3号機については、原子炉を覆う格納容器を水で満たして、炉内の核燃料が常に水につかっている状態にすることが基本 だと述べました。そのうえで、核燃料を持続的に冷やす手段として、満たした水を循環させ、新たに設置した空気による冷却装置で冷やす方法が有力だという見 方を示しました。事前の準備としては、耐震安全性や格納容器を水で満たすことによる計器類への影響を調査すること、それに冷却装置の設置に向けて、現場の 放射線量を詳しく調べる必要があるとしています。

この方法、「水棺」と呼ばれ、東京新聞の4/8の記事で詳しく書かれているのを見つけました。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2011040802000039.html

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 水棺では、圧力容器と格納容器をともに燃料棒の高さ付近まで水で満たし、高い熱を持つ燃料棒を冷やす。燃料棒が破損して放射性物質が漏れるのを抑える狙 いもある。熱で蒸発する水は外部から注入。燃料棒が冷めて取り出せるようになるまで、少なくとも数年は続けるとみられる。

本来は格納容器と圧力容器とはつながっていませんが、どこかの配管でつなげれば、これら容器の液面は等しい高さになります。
(私は、現在、圧力容器で沸騰した水蒸気を配管で格納容器に逃がしてここで凝縮させているのではと推定していますが、よくわかりません。)

たびたび指摘しているように、確かに燃料棒を完全に水没させることが重要なはずですが、そのために格納容器まで水を張らないといけないということでしょうか?

私は、圧力に注意しながら少しずつ注入する水の量を増やすことで、だましだまし水位を上げていくことが可能じゃないかと思っているのですが・・・。

熱を奪う方法としては、外部に水を張ることはさほど効果があるとは思えません。それよりも逆に、水の重みによる強度の心配の方が大きいように思います。


東京新聞の記事では、「蒸発する水は外部から注入」と書かれていますが、また蒸発したら消えると思っているのでしょうか? この場合は、蒸発した水蒸気を外部に逃がして、これを凝縮させないといけないでしょう。

これがどこで行えるのか、よくわかりません。
本来の水蒸気の配管でタービン建屋まで送って、復水器で凝縮させるのでしょうか?
その配管は健全かどうかもわかりません。


一方、NHKの今日の報道では、「満たした水を循環させる」と書いてあり、沸騰させるのではなく、循環して熱を奪うと考えているようです。この方法も可能です。

ただ、沸騰で熱を奪う場合には、たとえば20℃の水を注入して100℃で沸騰させるとしたら、1kg/hあたり

 水の温度が上がる分の熱 (100-20)℃×(1kcal/kg・℃)×(1kg/h) = 80 kcal/h
 蒸発で奪う熱 (540kca/kg)×(1kg/h) = 540 kcal/h

で合計 620 kcal/hの熱を奪うことができるのに対して、蒸発させないで熱を奪う場合、たとえば40℃で送って80℃で戻すと仮定すると、

 水の温度が上がる分の熱 (80-40)℃×(1kcal/kg・℃)×(1kg/h) = 40 kcal/h 

だけとなるので、蒸発させる場合に比べて、15倍以上の流量で水を送らなければならないことになります。
それだけポンプの流量や圧力も必要になってきます。

まぁ、本質的な問題ではないので、ちゃんと計画すれば実現は可能なはずですが。

それよりも80℃で戻ってきた水をどうやって40℃まで冷やすかもポイントです。
「熱交換器」を使うとして、ポンプに比べて特殊なので、うまく短期で調達できるのか疑問です。しかも空冷式?


とにかく情報が十分ではなく、東電や政府が何を考えているのか、今ひとつよく見えません。
正しく安全に収束させてくれればいいのですが。。。