福島第一原発 放射線被曝量(シーベルト)について | ナンでもカンでも好奇心!(tomamのブログ)

ナンでもカンでも好奇心!(tomamのブログ)

硬軟取り混ぜた種々雑多なネタについて書いてみようかと思います。
全くまとまりがないと思うけど、それが自分らしさということで。。。

一度少し書きましたが、重要性が増してきましたので、もう一度放射線の被曝の大きさについて整理して書きます。



被曝の大きさを表す単位は、シーベルトです。記号はSv。


ひとくちに放射線といっても、α線、β線、中性子線などいくつもの種類があり、人体への影響の大きさはそれぞれ異なるので、人(や物体)が各放射線を受けた(正確には吸収した)大きさに、あらかじめ定められた係数をかけて換算して、影響の大きさをひとつに統一します。そのときの単位がシーベルトです。


1シーベルトは、非常に大きい量なので、もっと小さい値を表現するのに向いていません。そこで、必要に応じて、ミリシーベルト(mSv)とかマイクロシーベルト(μSv)とかの単位を使います。


ミリは1000分の1、マイクロはミリのさらに1000分の1です。


メートルだと不便な小さい長さを表現する場合に、ミリメートルやマイクロメートル(=よくミクロンと呼ばれる)を使うのと同じです。

以下では、ミリシーベルトを中心に使うことにします。



もうひとつ大事なことは、「ミリシーベルト」と「ミリシーベルト毎時」("毎時"を前につけたり、あるいは"1時間当たり"を前につけたりもします)とを区別することです。

報道ではこれらを区別せず、間違って使用していることがしばしばありますので、注意ください。


場所の放射線量測定値は「ミリシーベルト毎時」の方で、これはは1時間当たりの被曝量を示します。


ある場所の放射線量が 10ミリシーベルト毎時 (=1時間当たり10ミリシーベルト) であったとき、そこに1時間滞在したら、10ミリシーベルトの被曝を受けます。2時間なら 20ミリシーベルトだし、30分なら5ミリシーベルトです。


毎時10km(10km/h)の速度で、1時間走ったら10km進み、2時間なら20km、30分なら5kmなのと同じです。



被曝の健康への影響の大きさは、「ミリシーベルト」の方で(ミリシーベルト毎時ではなく)判断されます。


わかりやすい図がありましたので、転載させていただきます。

http://getnews.jp/archives/103732  から転載。(もとは放射線医学総合研究所))


この図によると・・・


病院でCTスキャンによる検査を1度受けたら、6.9ミリシーベルト被曝します。

被曝量が200ミリシーベルト以下では症状は確認されていません。

500ミリシーベルトでリンパ球の減少が見られるなど、これ以上で重篤な健康被害が出ます。


ナンでもカンでも好奇心!(tomamのブログ)



今日、茨城で5.575マイクロシーベルト(マイクロはミリの1000分の1です)を検出したとの報道がありました。

この場所で 200ミリシーベルトの量を被曝するには、

 200 x 1000 / 5.575 = 35,874 時間 = 1,495日


したがって、およそ4年間この状態が続き、その間、屋外にい続けたとしても、まだ健康には影響がないレベルです。

同様の計算で、ここに52日間いたら、CTスキャンを1度受けたのと同じ量(6.9ミリシーベルト)の被曝を受けることになります。


このレベルでは、まだ健康被害を問題視する状況ではありませんので、慌てることはありません。

念のため、今後の情報には注意をしておくべきでしょう。


もちろん、被曝が望ましいことではないことには、議論の余地はありません。

屋内に退避する、マスクをつけるなどの指示に従うことは大切です。

具体的な対処方法は、例えばここに書かれています。

http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=38080



先にも書きましたが、原発の3号機の近くでは、1時間当たり400ミリシーベルトが観測されたとの報道がありました。これは、原子炉の近くで懸命の作業をされている皆さんには、きわめて重大な数字です。

この数字を見れば、健康被害を考えなければなりません。


ただしこれは、原子炉のごく近傍の話で、もともと(少なくともこの事故後は)防護服無しでは近づかないような場所です。

距離が離れれば、放射線の量はどんどん小さくなります。

数字だけが一人歩きしないように、くれぐれも注意しましょう。


さらに、400ミリシーベルトを、わざわざ40万マイクロシーベルト(μSv)と数字を大きく見せかけて、危機感をあおっている人もいるようです(?)。

これは、健康飲料で「タウリン1グラム配合」というかわりに、「1000ミリグラム配合」という方が効きそうに思うのと同様の錯覚です。

この書き方を使えば、私の身長は、165万マイクロメートル、あるいは、16億5千万ナノメートルです。巨大怪獣のようでしょうか?



このような危機的状態にこそ、努めて冷静に科学的に考えなければなりません。


この緊急事態にもっと大事なことは、少量の放射性物質の放出を許容してでも、強度の放射性物質を保持している圧力容器の爆発→拡散という最悪の事態を避けることを目指すことだと判断しての措置、およびその影響と考えます。



もう一度、寺田寅彦(物理学者で随筆家, 1878-1935年)のことばを記載しておきます。


「ものをこわがらな過ぎたり、こわがり過ぎたりするのはやさしいが、正当にこわがることはなかなかむつかしい」