まず、ここは「沸騰水型原子炉」です。
詳細は、Wikipediaの
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B2%B8%E9%A8%B0%E6%B0%B4%E5%9E%8B%E5%8E%9F%E5%AD%90%E7%82%89
を参照ください。
この図も、WIkipediaの同じページからコピーしています。(著作権問題で削除されないか心配ですが。)

・反応容器の水位が低下している、という事態について
反応容器内の水は、本来、反応容器→タービン(発電機)→凝縮器(Condenser)→ポンプ→反応容器
と循環しています。
水は閉鎖系で使用しているはずです。減ることはありません。
ケミカルエンジニアは、「物質収支」という概念を大事にします。
蓄積量=流入量ー流出量+生成量-消失量
という、書いてしまえば何とも単純な真理ですが、これがとても重要です。
(これが当てはまらないのは、核反応がおきる場合だけ。
今回の対象が原子炉でも、水が核反応を起こすはずはない。)
水位が何度も低下しているということは、どこかから漏れていると考えるのが妥当と思います。
圧力容器(格納容器も)が健全とすれば(そう信じます)、格納容器の外のタービンやコンデンサ周りの配管のどこかが損傷して水が漏れていると推定するのが自然と思いますが、そのようなことは報告されていません。
・海水の注入と塩の結晶の析出について
テレビの解説などでは、反応容器、圧力容器の周りの図だけで説明が行われており、タービンやコンデンサがどうなっているのかの説明がほとんどありません。
(やや楽観的な)小生の推定では、(発電しているとは思えませんが、)タービンやコンデンサは健全で、通常のように動いていると考えます(考えたいです)。
そうでないと、反応器で沸騰して熱を奪ってくれた水蒸気の行き先がありません。
水蒸気はコンデンサで凝縮され、ポンプで反応器に戻ってきているはずです。
もしそうであれば、海水の濃度はあまり上がらず、結晶の析出も起きません。
ただ、この推定が成立するためには、循環ポンプと、もうひとつコンデンサの冷却水用のポンプがちゃんと動いていることが必要です。
非常用電源が確保されているでしょうか?またポンプはでしょうか?そこは疑問です。
もし、循環ポンプなどが動いていないとすれば、沸騰した水蒸気はどこに行ってるのか、よくわかりません。
崩壊熱が小さいとすれば、圧力容器の上部の壁面で冷やされて(大気への伝熱だけで)凝縮して、反応容器に戻っているという可能性もなくはないですが・・・。そんなに小さければここまでの問題にならないだろうと考えます。
そして、上記推定の通り、配管から水または水蒸気が漏れていて、そのたびに海水を注入しているのだとしたら、次第に塩水の濃度は上がっていきます。この場合、あるところで結晶が析出する恐れがあります。
・・・
そうこうしているうちに、2号炉で、先ほどいったん2mまで上がったと報道されたばかりなのに、また液面が下がって燃料棒が露出していると報道されています。
水位が上がったとか下がったとかばかり言ってますが、とにかく、物質収支が合わないです!
水はどこに消えていってるのですか!?
こんな単純なことが報告されないし、問題にもされないとは、どうなっているのでしょうか????
(自分が見ていないだけの可能性は、ありますが。)
※なお、夜11時頃のTV朝日の報道では、専門家が、発熱は「崩壊熱」だと説明していました。