以前に紹介したことのある、安井至先生(東京大学名誉教授)が、ホームページ「市民のための環境学ガイド 」で意見を書かれている。
↓を読んでもらえればいいのですが、簡単にまとめておきます。
http://www.yasuienv.net/TohokuQuake.htm
(1) 今回の津波で完全崩壊した地域が、100年先を考えた形で復興するために、今、何をやるべきか。
まだ考え始めるのは早いが、復興が始まってからでは手遅れになる部分も出てくるだろう。
明治三陸地震ではこの地震の津波の高さは大船渡市で22.4mだそうで、今回も同程度なのではないだろうか。100年に1回程度の津波の襲来を予測した上での都市設計を行う必要がある。
(2) 今後の都市構造としては、原発中心の電力依存一辺倒ではなく、温暖化への配慮をした上で、地域分散型のエネルギーシステムの整備を再度考えるべきではないか。
現在、下北半島の東通に新しく立地をして、2基を建設する予定。しかし、この3ヶ所以外の場所への建設はもはや難しい。今回、廃炉が決定的な福島第一の1号機の跡地に、3倍ぐらいの能力をもつ新機種を設置するぐらいが、今後、やれることだろう。 (・・・tomam私見では、これらも住民の反対により実現困難では。)
今後、地震・津波・高潮、さらには、国際的な問題などの影響で、電力供給が不安定になるという懸念が残る。
やはり分散型エネルギーとの共存を、エネルギー安全保障の観点から、図るべきなのではないか。
その候補は、都市ガス+SOFCによる発電・給湯である。
(3)日常生活の省エネを極限まで進めるとともに、自然エネルギーとして、安定した出力が狙える地熱や海流、あるいは、海上風力など、を真剣に考えるべきではないか。
(4)今回の地震による様々な事態を、リスクに対して過敏な社会にますます移行するキッカケにするのではなく、ヒトの生存は、所詮リスクとの共存なのだという理解に変えるには、どうしたらよいか。
基準値は超えているものの、微量の放射性物質が放出されたことを過大視している記事が多いのだが、本当のリスクが何であるか、記者も知らないだろうし、実は、筆者自身もよく分からない。なぜならば、炉心溶融が起きたのは、チェルノブイリ、スリーマイル島の2例に続き、今回の例しか無いからである。
チェルノブイリは、黒鉛炉で、今回の軽水炉系の原発とは構造が全く違う。
少なくとも、人体への被害がほとんど無い程度の放射性物質の放出を過度に気にするよりも、しっかりと避難を実施した上で、原子炉を確実に停止することに注力すべきだと、メディアは書くべきだ。