謎解きはディナーのあとで | ナンでもカンでも好奇心!(tomamのブログ)

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硬軟取り混ぜた種々雑多なネタについて書いてみようかと思います。
全くまとまりがないと思うけど、それが自分らしさということで。。。

たまには新しい本の紹介を。

『謎解きはディナーのあとで』 東側篤哉著。
大富豪のお嬢様である新米刑事が担当する事件の謎を、その運転手兼執事が解決する、短編6本の連作ミステリー。

年末に帰省する際に、書店で軽い読み物を探していて、目に付いたので買った。
帯の「失礼ながら、お嬢様の目は節穴でございますか?」という言葉に惹かれた。表紙のイラストもセンスがいいし。

自分は、この著者の本を読むのは初めて。
新聞のランキングで見ても、売れてるようですね、この本。

謎解きはディナーのあとで/東川 篤哉
¥1,575
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感想は・・・・設定が中途半端。大富豪のお嬢様といいながら、それが事件解決のストーリーとは何も絡んでこない。執事が毒舌なのも取ってつけたようだし、上司の刑事が金持ちという設定も、全く生きていない。
主人公と、執事や上司とのかけあいも軽すぎるだけで、さほど面白くはない。
まぁ、テレビ番組にでもしたら、それなりのプロットにはなるかも。

一方で、謎解きの読み物としては、結構いいと思う。
各話の前半で事件の謎が提示され、後半でその情報だけを元に、執事が謎を解明する。
どの話も論理の破綻はなく、なるほどと納得させられた。
短編ということもあり、物語としての深みはないが、パズルを解く面白さとしては、合格。

ヒマつぶしに読む肩のこらない本としては、まぁいいんじゃないかな。


刑事が大金持ちという同様の設定のミステリーとしては、筒井康隆著の『富豪刑事』がある。
深田恭子主演でテレビドラマ化もされてるので、知っている人も多いかと。
原作の主人公は男性なんで、読んだことがあった自分は、深キョン主演に最初はびっくりしたけど。

富豪刑事 (新潮文庫)/筒井 康隆
¥460
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こちらは、大富豪の主人公が、とんでもない私財を使って事件を解決する。
『謎解きは・・』と違って、ちゃんと設定が生きている。
なんとも破天荒な、あり得ない話だが、筆者の力のおかげで、すばらしいエンターテインメントに仕上がっている。
筒井康隆は昔はよく読んだ、好きな作家の一人です。


同じ設定のふたつの小説、筒井康隆の圧勝ってところでしょう。