小売り大手のセブン&アイ・ホールディングスは、動脈硬化などとの関係が指摘されている
トランス脂肪酸を含む商品を、原則として売り場には置かない方針を明らかにした。
という報道がありました。
娘が取っている「朝日小学生新聞」でも、この話題が取り上げられてました。
定期購読している「週刊金曜日」では、トランス脂肪酸は健康に悪いので規制すべきだ!と繰り返し記事になっていたのですが、とうとうこういう動きになったんだと感心しました。
(参考までに、「週刊金曜日」は、10年ほど前に、食品・化粧品などの大手の会社製品について具体的な製品名を挙げて健康上のリスクを問題にして話題になった「買ってはいけない」という本の、元記事を連載していた雑誌です。今も「新・買ってはいけない」と題して、連載継続中です。
これには科学的に間違った記述も多く、必ずしも全ての主張を信じてはいないのですが、トランス脂肪酸の話は本物だったようです。)
さて、「トランス脂肪酸」などと言われてもわからない人が多いのではないかと思います。
小学生向けの記事では、これが一体何なのか、説明を避けています。
しかし、これはマーガリンやショートニングの使用が制限されるかも、ということで、料理好きな女性(男性)やケンタッキーフライドチキンやマクドナルドが好きな子ども(大人)にも、たいへん身近な問題です。
で、化学系の技術者として、これを化学的・物理化学的にやさしく説明を試みてみたいなーと思った次第です。
通り一遍の説明でごまかさず、基本の基本から逃げずに説明したいと思います。
長くなるので、何回かに分けて書くことにします、ね。
どこまでわかりやすく説明できるか、挑戦です!
(おー、これがブログで初めて、専門に近い話題!)
では、はじめます。
まず、食用油やバター・マーガリンなどの「油脂(あぶら)」ですが、Wikipediaで調べると、化学的には
「脂肪酸とグリセリンとがエステル結合したもの」
とか書かれています。なんじゃー、こりゃ?ですよね。
で、次はその「脂肪酸」ですが、具体的には、料理でよく聞く名前のリノール酸やオレイン酸などが挙げられます。これをWikipediaで見ると、
「長鎖炭化水素の1価のカルボン酸である」
と書いてあります・・・。これもまた・・・。
これから、これをやさしく説明していきますので、まだ逃げないで!
さて、
一般にモノ(物質)は、さまざまな「原子」が結合した「分子」でできています。
モノを小さく小さく分割していくと、もうこれ以上小さくすると性質が変わってしまう、最小の大きさに到達します。これを「分子」といいます。
そして、その分子を無理矢理分割すると、どんな分子でも、わずか100種類程度の「原子」からできています。
(以下、余談です。
原子(Atom)は、ギリシャ語でもともと「これ以上分割できない」という意味らしいですが、この原子は、電子と原子核とに分割されます。原子核はさらに陽子と中性子に分割されます。
それで、結局、全ての物質←分子←原子は、たった3種類の粒子からできていると言えます。全ての物質とは、たとえば人間の体も含め、この世の中の全てです。)
原子は、およそ100種類ほどですが、その中でも、このお話で出てくるのは、炭素、水素、酸素の3種類にほぼ限られます。(原子(元素)の覚え方は、こちらを参照。→ スイヘイリーベ )
炭素(Carbon、元素記号C)は、特に生物を構成する重要な元素です。
その字のごとく、炭はまさしく炭素からできてるし、黒鉛(鉛筆の芯)やダイヤモンドも炭素です。
また炭素は、別の炭素や他の元素とさまざまな結合をすることができ、その化合物は1000万種知られていると。
酸素(Oxygen、元素記号O)は、空気中に21%含まれており、モノが燃えるときや生物が呼吸するときに重要な元素です。
水素(Hydrogen、元素記号H)は、最も単純な元素です。いろんな用途がありますが、純水素としてはロケット燃料などに使われます。
水素と酸素が結合した分子が、水(H2O)です。
炭素と酸素が結合した分子が、二酸化炭素(CO2)です。
炭素と水素が結合した分子は、「脂肪酸」の説明で出てきた「炭化水素」ですが、これにはきわめてたくさんの種類があります。
・・・切りがいいこの辺で、今日は終わりにします。
まだ、原子と分子しか説明してませんが(笑)
ここまでは、簡単でしたよね? しかし、トランス脂肪酸は遠いなぁ・・・。
では、次回をお楽しみに!(本当に楽しみなのか???)