今日のブログは、
「カラダを元気に」の分野から
浜松医科大学名誉教授である
高田明和先生の「長生きしたけりゃ、
医者の言いなりになるな」らの引用です。
ひとつお断りしておきます。
以下の内容は、あくまでも
高田先生の「持論」です。
異論がある、ということも
充分ご理解のうえ、お読みください。
今から350万年くらい前に
人類の先祖が地上に直立した
ときの脳の大きさは約400cc
で、今のチンパンジーと同じくらい
です。チンパンジーの脳の大きさ
は当時と変わっていません。
今から200万年前に、手で
道具を使うホモ・ハピリスという
猿人が現れ、狩猟で捕らえた
獲物や植物の根などを処理して
食べることができるように
なりました。これにより脳の
大きさは600ccくらいに
大きくなったのです。
さらに今から120万年くらい
前に、火を使うことを覚えた
原人が現れました。
肉などを消化によいように
調理でき、栄養の摂取が
非常に効率よくなりました。
このときの脳の大きさは
900ccです。現在の
ホモ・サピエンスであるわれわれ
の脳は1350ccくらいで、
地上に立ち上がった先祖の
3倍以上です。
このように脳は大きくなって
いるのに、脳の重さは
体重の約2%にしかすぎません。
ところが脳は何もしていない
ときにも、全エネルギーの
約20%を使います。活動して
いるときは約24%で、
非常にエネルギー消費が
大きいのです。
脳が必要とするものは
ブドウ糖だけではありません。
神経細胞と神経細胞の間を
つなぐ神経伝達物質の
セロトニンは、必須アミノ酸の
トリプトファンから作られます。
セロトニンは、心の落ち着き、
感情のコントロールに
欠かせない物質で、不足すると
不安や抑うつ症状を起こします。
また、心身を興奮させるなど、
喜び、驚きなどの感情に関係
する神経伝達事項のドーパミン、
ノルアドレナインなどは、
フェニルアラエンという
必須アミノ酸からできます。
必須アミノ酸は自分の体の
なかでつくることができず、
どうしても食べ物の中の
タンパク質から摂るしかない
のです。不飽和脂肪酸の
DHA(ドコサヘキサエン酸)、
EPA(エイコサペンタエン酸)、
ARA(アラキドン酸)などは
必須脂肪酸で、これらも
食べ物から摂る必要の
ある脂肪酸(脂質の主な成分
でさまざまな種類がある)
です。DHAは神経細胞を
健康に保つ働きがあり、
脳の脂肪酸の17%を構成し、
アラギドン酸は、神経、免疫、
生殖などの機能を調整する
物質で、脳の脂肪酸の
12%を構成します。EPAは
脳内ではDHAに変換されます。
つまり、これらを含む脂肪や
必須アミノ酸を含むタンパク質
も、どうしても摂取しなければ
なりません。そうしないと脳は
働かず、長寿を保てないの
です。
脳が大きいということは、
それだけ栄養の消費量も
多くなります。ですから、
あやまった食事制限は、
脳の機能を損ない、さまざまな
病気をもたらし、寿命を縮める
ことにもなりかねません。
カロリー制限が高等動物の
寿命を延ばさないという
実験結果には、脳がカロリー
を必要としているほかにも
理由があるかもしれません。
いずれにしても、下等動物
の実験で得られた結論を
すぐにヒトに当てはめて、
ダイエット産業に踊らされない
ことが肝要です。
高田明和 「長生きしたけりゃ、医者の言いなりになるな」参照