空飛ぶ広報室/幻冬舎


星星星星星


有川浩さんの自衛隊もの、大好きです!
ということで、この本を図書館で予約していたのですがなにしろ数十人待ち。
いつくるのかなぁと途方にくれていたところ、先日有川さんの作品の感想記事に「主人の職場にありました」とコメントをくださった方がいて、もしかしてもしかすると?!と思い、夫に聞いてみました。
すると、図書室にはなかったのですが、なんとなんと、後輩君が持っていたのです!えっ
しかも聞いたその日に!!えっ
で、早速借りてきてくれました。
ありがとう~~、私の知らない後輩君~~~~ラブラブ


自衛隊のパイロットだった空井氏が突然の交通事故でパイロットの道を閉ざされ、空幕の広報室勤務になるというストーリーです。
自衛官が身近にいるにもかかわらず、そしてなぜか私自身が元自衛官だとしょっちゅう間違えられるのにあまり知らない自衛隊の世界(笑)
パイロットとしての夢を果たしきれなかった無念をかかえた空井氏が自分の仕事にやりがいを見出していく過程が爽やかでした。
そしてマスコミとの関係から、自衛隊って結構厳しい目で見ている人も多いんだろうなと今更ながら気がつきました。
結婚してからずっと官舎で暮らしているので自衛官ってこんな感じというのは肌で感じていましたが、小説で読むとますます「ムフフ」と思ってしまいますね。
広報の仕事の裏側も知ることができて面白かったです。
ちなみに私も子供が泣いたときには「ひんひん泣いてる」という言い方をしますが、この作品の中でもその言い方が出てきて笑いました。そう。「ひんひん泣く」が情けない泣きっぷりを表すには一番!(笑)


そしてラストの「あの日の松島」は、3.11のあとに書き足された話だそうです。
確かにこのタイミングで出る自衛隊関係の小説にあの日のことを書かないのは不自然ですものね。
さすが、有川さん。
あの日、松島の基地がどんな状況だったのかをインタビューで聞いていくという感じの話でした。
読んでいて胸が熱くなります。
自衛官は日本に何か大変なことがあった時には家にはいられないから、家のことはよろしく  というのは私もよく認識していたので、震災後は家のことは私が守ろうと必死だったことを思い出しました。



ところで本作、直木賞の候補にあがっていたのに賞に選ばれませんでした。
その理由が「非常に丁寧に書かれているが、自衛隊の広報になってしまっている」ということだったと新聞で読んで吹き出しちゃいました。
確かに、あとがきにも「自衛隊の広報室から自衛隊に関する小説を書いてと依頼があったのでこの作品を書きました」って書いてあるし!!(笑)

非常にいい広報になっていると思います。
有川浩さんの自衛官恋愛ものも好きだし、本作のような自衛官ってこんなことを感じながら仕事しているんだという内容の作品がまた出るといいな。
夫の仕事がまた、少し好きになって、心から応援できそうですから。