遠く南海上に発達している台風の影響か、今週もずっとうねりが残り、波の高い状態が続いて思うように釣りに行けなかった・・。
木曜日の夜明け前、久しぶりに荒波の海と対峙する。
ところが目前に不気味な紫だちたる雲が現れ、独り身の孤独な心に、不安を乗せて重くのしかかる・・。
海から昇る太陽は徐々に大島に近づいてきた。初夏にはこの島陰から悠々として、荘厳に輝きながら朝日は昇るのだ。
季節は、何か見えない大きな力によって、今まさに移り変わろうとしている。
見はるかす四方の光景を毒々しいオレンジ色に染め上げ、次の季節の到来を呼び起こす晩春の暴力的で危険な曙光。
凛として輝く旭光を全身に浴びた私は、その破壊的なエネルギーの威力に圧倒されて立ちすくみ、途方にくれてしまう。
結局この日も何も起こらず、いつの間にか日は昇りきっていた。
その日の昼下がり、いつものように海辺周りを散策に出かけた。すでに薫風吹き荒れ初夏の気配が漂う中、樹々も羊毛のようにふさふさと日々生い茂ってゆく。
そして風に煽られた山が得体の知れない巨大な生き物のように大きく揺れ、蠢き続ける。
空も海も山も川も、花も樹々も鳥も虫も、全ての自然の生命力が溢れんばかりに噴出を始めている。
その圧倒的な存在感と原動力に打ち負かされて、益々私の心は憂鬱となる。
そんな私の寂寞とした心とは裏腹に、蒼穹の海を嬉々として勢いよく泳ぐ鯉のぼり。
さすがは海辺の漁師町、よく見ると鰹や鰤も泳いでいる。
外洋は荒れているので、昼からゴカイを買って湾内でちょい投げ。
まだまだ水温が低いのかフグにキタマクラ、ササノハベラしか釣れない。
アカササノハベラ二匹を持って帰る。
ベラは丁寧に三枚に卸し、太白胡麻油でカリッと揚げる。
人参、玉ねぎを添えて南蛮漬けに。
予想以上にさっぱりとして美味い。
豆腐が余っていたので、昆布と鰹節で出汁を取り、切り干し大根の煮物に混ぜ込む。量が増え、豆腐に旨みが分散し、味も上品に仕上がった。
主食はやはり鰹の刺身。生姜醤油とマヨネーズで。
ほとんど毎日のように食べている気がする。
先日、隣人の老夫婦から新鮮なきゅうりを頂いたので、カニカマとワカメで酢の物を作る。
和三盆糖で上品な味付けに。
冷蔵庫にストックしてある、ホタルイカの沖漬けもお酒のつまみに。
かんたろうはやっとストーブの前から離れ、昼間は気持ちよさそうに日向ぼっこ。
春は眠い。
おやすみ、かんたろう。
もうすぐ不気味な春も終わる。
風薫る新緑の爽やかで素敵な季節がやっとやってくる。


















