ひさかたの光のどけき春の日にしづ心なく花の散るらむ。
ー『古今和歌集』紀智則
今週もうららかな、春爛漫の日々が続いている。
いつの間にか桜がすっかり満開になっていた。
夜露に濡れる朝桜。
桜の樹の下には屍体が埋まっている!
ー梶井基次郎
秋と同じく、春もまた私にとっては嫌いな苦手な季節だ。
限りない索漠さを秘めた哀しい秋。
それに対し、自然の圧倒的な生命力に打ち負かされ、私を憂鬱な気分にさせる、春の息吹の力。
そして、春の気配を、力強い生命力を一面に漂わせながら、今日も日はまた昇る。
そろそろ早朝の海岸にも春の息吹の訪れか、生命反応の兆しが戻りつつある。私が見た限りだが、この浜で今週に入ってメジロが3本上がっていた。
しかし何故か私には何の当たりもなく、唯一波打ち際で掛かったのは、不気味に青白く光るダツのみ。
この日の午後、ぽかぽか陽気に誘われて湾内の波止でワームを付けてのちょい投げ。
春の陽を浴びて全身がパールピンクに輝く、気品に溢れる白鱚はとても美しい。
三枚におろして、塩をあて氷水で締め、酒水で洗って軽く昆布締めに。
しっかりと脂が乗っていて美味い。白鱚は12月ごろか、3月から5月にかけてが最も旨い。
近所のスーパーでは地物の真鯛が上がっていたので腹身の切り身を買う。
これまた、丁寧に捌き、一晩昆布締めにして、ごく少量の酒と塩だけで味付け、薄く細く造る糸作りに。
真鯛はこの脇腹の薄肉というところが特に美味い。
何も付けずに、このまま頂き、熱々のご飯をかき込むか、熱燗を流し込む。
先日の鰤の刺身の残りを一晩醤油と酒、味醂に漬込み、これも熱々のご飯で頂く。
この辺りでは正に今が鰤漁の最盛期、値段も安く、旬を迎え最高に脂が乗っている。
かんたろうも春が来て物哀しいのか、夜中に何度も起き出す。
私を起こそうと枕元に来て、顔に息を吹きかけたり、濡れた鼻先を顔につけたりする。
それでも無視していると、布団の上に飛びかかってくる。仕方なく起き上がると、寝かさないよう布団の真ん中に陣取る。
しかし、こんな顔をされると思わず微笑んでしまう。
朝方やっと寝入った、かんたろう。
春眠暁を覚えずだ。
おやすみ、かんたろう。











