3月5日、啓蟄。冬籠りの虫が這い出る。
着々と春は近づいているようで日々、天気が定まらない。嵐のような雨や風、そして海はうねりを伴った時化の状態が続いている。
日曜日は沖磯に渡れなかった大勢のグレ釣り師が強風と高波の中、私のいつもの散歩コースにある地磯で、酷く疲れた暗い表情のまま黙々とオキアミと集魚剤を撒き散らしていた。それを狙って沢山の鳥が彼らの頭上を舞い、周囲に漂う寂寥感を一層高めていた。
そろそろ、地元の定置網にブリが入りだした。
少し硬いが、天然ぶりの上品な何の嫌味もない香り豊かな脂が甘く口の中でとろける。
醤油に熱々ご飯、おろし大根、熱燗。
利尻昆布と塩だけで潮汁に。
それと定番のカツオの刺身。
あれからちょうど1年が経った。
昨年の啓蟄の日の早朝、この公園でかんたろうを捕獲したのだ。
思い出すのか、今でも時々窓から外を眺める。
離婚、そして家族と仕事を失ったことに端を発する私の中空の心をいくらかでも埋め戻してくれた、かんたろう。
その愛くるしい仕草の数々が、一挙一動が、私の心に愉悦となって駆け巡る。
孤独に押し潰されそうな夜も、涙を堪え酒に溺れそうな憂悶の日々も、常に傍に寄り添ってくれた。
呼べば必ず嬉しそうに、弾みながら駆け寄ってくる。
さよならだけが人生かと、ひたすら憂愁に身を任せていた私は、そのまんまるい澄み切った瞳の輝きに、どれだけ助けれらたことか。
この一年間本当にありがとう。
おやすみ、かんたろう。
かわいい寝顔をありがとう。
これからもずっと一緒だ。















