本多孝好
「WILL」を読みました。
かつて、ある病院には、入院患者にしか伝わらない“必殺仕事人伝説”という、おかしな噂が存在していた。
「死を間近にした人間の願い事を、なんでも一つだけ、叶えてくれる」
噂とは何ら関係が無かった、病院の清掃アルバイト・神田が、その必殺仕事人の役目を負ってしまい、患者と向き合っていく。
それが前作、「MOMENT」のお話し。
そこから7年経った、今作「WILL」
神田に病院の清掃アルバイトを紹介した、幼なじみで、葬儀店の若手女社長・森野が主人公。
葬儀店を訪れる人々は、皆、悲しみ以外の感情を持っていた。
父に対して怒りを感じている娘。
死んだ友人の名を騙って、復讐する女。
夫を亡くしている未亡人の元に、夫の生まれ変わりだと言って近づく少年。
穏やかではない感情は、死者をこの世に繋ぎ止めておくことになりかねない。
かつての神田と同じように、森野は当然のごとく、遺族たちの深い闇に入り込んでいく。
眠らせるのが、森野の仕事だからだ。
あぁ。面白い。でも、それだけじゃない。
死んでしまった人とは、もう二度と話せない。
聞きたかったことも、相談したかったことも、伝えたかったことも、行き場を無くして、
悲しみ以上の感情を生み出してしまう。
でも、それは遺族に限ったことではないはずだ。
きっと、死者たちも、同じ想いを抱えていただろう。伝えたかったことが、きっとあったはずだ。
それを無下にしない森野が好きだし、この物語が好きだ。
だって、そうでも考えなきゃ、綺麗に考えてなきゃ、人間の死が誰も救われない出来事になってしまう。
考えてみれば、MOMENTを最初に読んだのは、中学生の頃でした。
たまに読みますが、変わらず面白い。
MOMENTの感想も、そのうち書いてみます。

