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ミューステシネマ

好きな映画、音楽、演劇、本について記録しています。


時間のある時の、暇つぶしとして見て頂ければ幸いです。

50冊計画の7冊目。



本多孝好
「WILL」を読みました。



かつて、ある病院には、入院患者にしか伝わらない“必殺仕事人伝説”という、おかしな噂が存在していた。



「死を間近にした人間の願い事を、なんでも一つだけ、叶えてくれる」



噂とは何ら関係が無かった、病院の清掃アルバイト・神田が、その必殺仕事人の役目を負ってしまい、患者と向き合っていく。


それが前作、「MOMENT」のお話し。



そこから7年経った、今作「WILL」



神田に病院の清掃アルバイトを紹介した、幼なじみで、葬儀店の若手女社長・森野が主人公。


葬儀店を訪れる人々は、皆、悲しみ以外の感情を持っていた。


父に対して怒りを感じている娘。


死んだ友人の名を騙って、復讐する女。


夫を亡くしている未亡人の元に、夫の生まれ変わりだと言って近づく少年。



穏やかではない感情は、死者をこの世に繋ぎ止めておくことになりかねない。



かつての神田と同じように、森野は当然のごとく、遺族たちの深い闇に入り込んでいく。



眠らせるのが、森野の仕事だからだ。




あぁ。面白い。でも、それだけじゃない。


死んでしまった人とは、もう二度と話せない。


聞きたかったことも、相談したかったことも、伝えたかったことも、行き場を無くして、


悲しみ以上の感情を生み出してしまう。

でも、それは遺族に限ったことではないはずだ。


きっと、死者たちも、同じ想いを抱えていただろう。伝えたかったことが、きっとあったはずだ。



それを無下にしない森野が好きだし、この物語が好きだ。


だって、そうでも考えなきゃ、綺麗に考えてなきゃ、人間の死が誰も救われない出来事になってしまう。



考えてみれば、MOMENTを最初に読んだのは、中学生の頃でした。


たまに読みますが、変わらず面白い。


MOMENTの感想も、そのうち書いてみます。


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50冊計画の6冊目。



江戸川乱歩・短編集
「人でなしの恋」



大正14年から大正15年にかけて発表された短編作品を収録したもの。



見世物小屋で、ある役者の見事な変装を見物した書生の主人公と、役者の変装に疑いの目を向ける編集者の話、「百面相役者」



人間の記憶の頼りなさによって起こった、父親殺しの真相が面白い「疑惑」、



美しい青年の元に嫁いだ幼妻・京子が、夫と人形の逢う瀬に直面してしまう「人でなしの恋」など、



目をそらすことが出来ず、先の展開が気になってしまう傑作ばかり。



見てはいけないものを見ているようで緊張するのですが…。


私が特に好きなのは、


「一人二役」
「疑惑」
「人でなしの恋」
「木馬は廻る」



人間の心理というのは、本当に不思議で奥深く、面白い。


そういうものを題材に選ぶ江戸川乱歩さんも、本当に好き。


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とびきりの悪党は、必ず退治されるのだとばかり思っていた。



50冊計画の5冊目。
伊坂幸太郎「アヒルと鴨のコインロッカー」


大学入学のために引っ越してきた椎名。そこで彼が最初に出会ったのは、尻尾の先が丸まっている黒猫と、悪魔のような青年だった。



「河崎」と名乗った青年は、初対面の椎名に、とんでもない事を言った。



「一緒に本屋を襲わないか」



「現在」の椎名に降りかかる厄介な事件と、目茶苦茶な河崎の計画。



その「二年前」に起きた、河崎と琴美とドルジに起きた事件が、あるとき重なり合う。


とびきりの悪党は、必ず退治されるのだとばかり思っていた。ドルジの国の、因果応報というやつだ。



でも退治されなくて、ついには自分たちの手で退治しようと決意した彼らの気持ちは、痛いほど良くわかる。



せつない。
私はすっかり騙された。椎名と同じく。



ドルジはどんな思いだったんだろう。河崎はなんで生まれ変わることを選んだのだろう。


想像して、一緒に考えて、でも良い意味で期待を裏切られる、素敵な小説だった。


ぜひ読んでください。2月は本を読まなかったので、今月は真面目に。