ミューステシネマ -4ページ目

ミューステシネマ

好きな映画、音楽、演劇、本について記録しています。


時間のある時の、暇つぶしとして見て頂ければ幸いです。

50冊計画の10冊目。


本多孝好
「チェーン・ポイズン」



「本当に死ぬ気なら、一年待ちませんか?」



死にたい、と呟いた30代のOLの元に、“死のセールスマン”が現れる。



ただで死ぬのではなくて、自分に生命保険をかけて。お金を残してあげたいと思える人に、保険金を残したらいい。



だから、一年我慢しませんか?一年後の自殺なら、保険金が下りる生命保険だってある。


一年我慢すれば、私が楽に死ねる手段を差し上げます。


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雑誌記者の原田は、人気絶頂のバイオリニスト、ある殺人事件の被害者家族、30代のOLの自殺に、共通点を見出だそうと取材を始めた。



やがて、原田の予想は、確信へと変わる。



3人の元には、セールスマンが現れた。ただのセールスマンではない。毒物を提供する、“死のセールスマン”が。



1年間の期間つきで生きることに決めたOL・高野章子と、自殺した高野章子を追う原田。



死のセールスマンとは、一体何者なのか?自殺した3人は、一体どういう心境だったのか?



長編ミステリー。素晴らしい。最後まで騙されていましたが。


自殺者が毎年3万人を超える、日本ならではの物語とも言えますが、



決して暗いだけの小説ではありません。


死ぬことを決意した人間の意思を変えられるのは、その人間自身でしかないわけですが、


その決意を揺るがすキッカケを与えるのは、いつだって“他人”なんですね。



自分が“他人”の立場である限りは、その人の決意を揺るがすことが出来る。


自殺という問題の前では、それは本当にちっぽけな希望ではありますが、



そのちっぽけな希望を信じようと思える、前向きな締めくくりの、素敵な物語であります。



ぜひ読んで下さい。


さて、3月も終わり。春は、希望の匂いと共に、いつでもゆっくりとやって来る。
50冊計画の9冊目。



江國香織
「間宮兄弟」を読みました。



35歳の兄・明信と、32歳の弟・徹信は、2人で暮らしている。


兄弟が考える“快適さ”を守って。



ある日、2人の快適な生活に、ほんのわずかな波風を立たせる出来事が起こる。



それは昔から、兄弟とは縁がなく、彼らを打ちのめしてきた、



恋、だった。



面白かった。
江國さんのあとがきを読んで、納得できた部分があり。



間宮兄弟にとって、恋愛も、女性も、問題も、快適な生活の外側で起きている出来事なんですね。



愉快で快適に暮らす兄弟の、ちょっとした冒険。と、いった感じでしょうか。



殻を破って一歩踏み出す兄弟が、微笑ましい。



江國さんはシリーズものとかは書かない作家さんみたいですが、



間宮兄弟はぜひ、シリーズ化して欲しいなぁと思いました。
50冊計画の8冊目。



角田光代
「対岸の彼女」



専業主婦の小夜子は、結婚・出産というブランクを経て、働きに出ようと決める。


いくつかの会社に応募するも、採用を断られ続け、諦めようとした矢先、ベンチャー企業の女社長・葵にスカウトされ、ハウスクリーニングの仕事を始める事になった。


仕事はやりがいがあり、1人娘の世話や家事、全てが上手く廻り出した小夜子は、


「葵といれば、なんだって出来る」と言った。



しかし、小夜子はまだ知らなかった。その言葉がどれだけ、葵にとって重要な意味を持つのかを…。


小夜子と葵が出会い、それによって葵はナナコを思い出し、小夜子は対岸にいる少女たちを追いかけていく。素敵な物語でした。



歩く道や、考え方や、信念は、どこですれ違っていくのだろう。



同じような身体つきの、同じ女なのに、子供を生んだり、結婚しなかったりで、分かり合えなくなるなんて。


色々考えちゃいますね。女性は特に、共感出来るお話しだと思います。



全て読んだうえで、表紙絵を見てみると、すごーく切なくなりますが…。



角田さんの小説、好き!



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