サイボーグ009(黙示編)第13話~第15話 | ☆SATOEMA萬画倶楽部☆

サイボーグ009(黙示編)第13話~第15話

サイボーグ009(黙示編)

第13話「蝙蝠」

 

 

2020年9月10日

 

張々湖は、中国湖北省武漢市にある中国科学院武漢病毒研究所の近くの山に来ていた。

 

「世界にコロナウイルスがまん延したせいで

 

ワイの店も潰れてしもうたアルよ。」

 

 

 

ギルモア博士に言われてワクチン用の

 

コウモリ捕まえてくるように言われたのはいいけど

 

どのコウモリを捕まえたらよいやら・・・。

 

 

 

 

ワイのこの力を使って、研究所にこっそり忍び込むほうが早いアルか?」

 

口から炎を吹いてみせる張々湖。

 

 

 

 

しばらく歩いて行くと、コウモリが大量に発生している場所に出くわす。

 

「おおお!

 

こんだけいれば、どれか当たりアルね。

 

しかし、ギルモア博士もジョーに頼めば簡単なことアルのに

 

今の中国は反日だからとかなんとか言って

 

ワイをこさせたけど

 

こんなとこ中国共産党に見つかったら

 

中国人のワイのほうが危険アルよ。

 

はよ~捕まえて、とっとと帰るアルね。」

 

虫取り網で、コウモリを捕まえようとする張々湖。

 

すると、突然、目の前が光り、コウモリの大群が一瞬にして焼け焦げた。

 

 

「なんと!ひどいことするアルね。」

 

そのまばゆい光の中から現れたのは天使だった。

 

 

 

 

第14話「5月35日」

 

 

張々湖の目の前に天使が現れた。

 

『人ハスベテノ動物ヲ総メルタメニ神ノ姿ヲ与エタ。

 

ダガ、人ハ動物サエモ自分勝手ニ作リ変エタ。』

 

 

 

 

「天使はん。それはワイに言われても困るアルよ・・・。

 

そういうことならWHOとか新聞記者とかに言った方がよいアルよ。」

 

 

その場から逃げようとした張々湖だったが

 

周りの時空が歪み

 

気がつくと、そこは、「天安門広場」だった。

 

多くの民衆の怒鳴り声が聞こえる。

 

それを弾圧しようとする者たち。

 

銃の乱射音があちこちで響き渡り

 

民衆の悲鳴が聞こえてくる。

 

 

「ここは・・・

 

1989年6月4日・・・

 

まさに天安門事件の修羅場アルよ。」

 

 

 

 

『人ハ人ノ上ニ人ヲ作リ、貧富ノ差ヲ生ム愚カナ生物。

 

モハヤ人種ヤ宗教ノ差別デハ飽キ足ラズ

 

同ジ民族デモ殺シ合ウ。

 

コノママデハ再ビ戦争ガオキル。

 

ソノ前ニ人間ヲ滅ボス。』

 

 

気がつくと、張々湖は再び武漢に戻ってきていた。

 

「天使さん!ワイに天安門事件の責任を追及されても困るアル。

 

ワイは、その頃は日本で張々湖飯店やってたアルよ。

 

それを言うなら中国共産党に言ってもらわないと困るアル。

 

そもそも、人間は失敗して成長する生き物アルよ。

 

中国のことわざでも

 

人の悪を攻むるは、あまりにも厳なることなかれ、

 

その受くるに堪えんことを思うを要すというのがアルよ。

 

天使さんが優しい顔して「滅ぼす」とか物騒アルよ。」

 

 

汗をかきながら、天使を説得しようとする張々湖だが…。

 

 

『聞クニ耐エン話ダ。オ前ノ存在ハ、コノ世ニ、アリウベカザルモノ。

 

消エロ。』

 

 

「ひえーーっ!」

 

必死で逃げようとする張々湖。

 

しかし、逃げた方向にいたのは

 

象の姿をした化け物だった。

 

 

 

 

「思い出したアル。

 

ワイは、ジョーたちと神様と闘って

 

こいつに殺されたアルよ。」

 

 

 

 

周りを見渡すと、

 

そこは・・・

 

2012年に神々と闘った決戦の地であった。

 

 

 

 

第15話「conclusion GOD'S WAR」

 

 

2012年 神々との最終決戦の地

 

 

張々湖はここでシバの女王に殺された。

 

しかし、その歴史は何者かの手によって改変された。

 

天使は歴史の改変を許さない。

 

天使が張々湖に与えた罰は

 

再び、歴史を元に戻すことだった。

 

 

 

 

「ワイは死んだはずじゃ。

 

でも、もう一回死ぬのはゴメンアルよ。」

 

 

 

 

張々湖の思いは届かず、歴史は確実に元に戻りつつあった。

 

「死ね!!」

 

シバの女王の放った毒蛇が張々湖に襲いかかる。

 

 

 

「もう!ダメアルよ!」

 

 

 

『ジョー急いで!張々湖が危険よ!』

 

フランソワーズの声がした。

 

 

 

「張々湖ぉぉぉぉぉぉ!!」

 

傷ついたジョーは立ち上がれない。

 

張々湖の名前を叫ぶが間に合わない。

 

 

 

その時・・・

 

 

「加速装置ッ!!」

 

張々湖の目の前で、毒蛇をたたき落とした者がいた。

 

赤い戦闘服を着た島村ジョー=009だった。

 

 

 

 

「009が二人?」

 

驚く張々湖。

 

 

 

 

「この歴史は、あってはならない!

 

僕がこの歴史を破壊する!!

 

新しい力で!!」

 

 

 

 

「009!新しい力って何アル?」

 

「張々湖、他のみんなは助けた。君で最後だ。」

 

 

ジョーの周りの空間が歪みだす。

 

「さあ!行こう。僕らのいるべき場所へ。」

 

 

 

 

ジョーは、張々湖を歪んだ空間に引き入れると姿を消した。

 

 

 

 

「ひえぇっぇぇ!!」

 

 

 

ジョーと張々湖が消えるとともに、

 

周りに溢れていた神々も姿を消した。

 

最終決戦の地であるはずのこの場所は

 

何事もなかったかのように静寂が訪れた。

 

 

(つづく)