
サイボーグ009「地平線の家編」最終話(FINAL・ACT)
これまでのストーリー
サイボーグ009「地平線の家編」
最終話(FINAL・ACT) 「パンの恵み」
ジョーのために、
そして、世界を救うために
自らの命を絶ったフランソワーズ。
フランソワーズを抱いたまま泣き続けるジョー。
その時、扉が開いた。
扉の中から、何者かが入ってくる。
先ほどの白い男だ。
「君は!?」
ジョーは、彼の気配に気づいた。
「僕だ。島村ジョーだ。」
その者の正体は、もう一人のジョーだった。
「どうして僕が、もう一人?」
「僕は、君たちがやり直したいくつもの世界を巡回し、人の定義を書き換えているんだ。
その役目は、いずれ君にも回ってくる。」
「そんなことより・・・僕は、君が言うとおり、フランソワーズを殺してしまった。」
「それは違うな。彼女は自分で死を選んだのだ。」
「違う!僕は、迷っていた。その迷いが彼女を殺したんだ。僕が殺したのと一緒だ!」
「彼女は、君が迷うことを知っていた。だから、君を救うために死んだのだ。」
「僕は・・・僕は・・・本当に、彼女を愛していたのか?
僕は、彼女を逃げ場にしてただけじゃないのか?」
「彼女は、君のことを本当に愛していた。」
「僕も、すべてを犠牲にして、彼女を守るべきではなかったのか?」
「それは、君のエゴだ。彼女が、君に何を求めたのか?
それが分からない限り、ここから、前には進めない!」
フランソワーズの最後の言葉が頭に甦る。
「ジョー!世界を、みんなを救って・・・。」
「わかったよ、フランソワーズ。
君は命がけで、僕を正しい方向へ導いてくれたんだね。
僕は、もう逃げないよ。」
微笑みながら消えていく、もう一人のジョー。
「あっ!?」
周りが明るくなったとき、目の前にいたはずのフランソワーズが消えていた。
そして・・・
そこに落ちていたナイフも
白い光を浴びて
フランスパンに変わった。
「僕が握っていたナイフは、
これだったのか・・・。」
「フランソワーズが、僕のために買ってきてくれたパンじゃないか・・・。」
頭の中に、もう一人の自分の声が聞こえてくる。
「今なら、まだ、間に合う!
僕が少しだけ、時間を戻す!
本物のフランソワーズを救い出せ!
仲間を助けるのだ!!
君なら、運命を変えることが出来る!
自分を信じて、仲間を信じて
勇気を持って、前に進め!!」
「わかったよ!僕は、行く!!」
地平線の家から・・・・
・・・・ジョーの姿が消えた。
2021年7月20日
翌日、雨はやみ。
この家にも明るい日差しが差す。
太陽の日差しとともに消えていく家。
そこには、庭の木が残っていた。
「フランソワーズ!これで僕らの役目も終わったね。」
「そうね。あとは、あの二人に任せるわ。」
長い梅雨が明け
夏がやって来た。
この、あたりまえの日常の裏で
人類の存続をかけ
命賭けで戦った戦士たちがいたことを
人々は、誰も知らない・・・。
「ザワザワザワザワ!ザワザワザワザワザワ!!」
「ザワザワザワザワ!!」
「ザワザワザワ・・・・・・・・」
サイボーグ009 黙示編
第75.5話「地平線の家」
終わり

































