国会は衆議院本会議で高市総理大臣の所信表明演説に対する各党の初めての代表質問が行われました。衆議院議員の定数削減をめぐり、立憲民主党の野田代表が幅広い合意形成を図るよう求めたのに対し、高市総理大臣は各党と真摯(しんし)に議論を重ねる考えを示しました。
立民 野田代表 政治とカネをめぐる問題について

立憲民主党の野田代表は自民党の政治とカネをめぐる問題について「いわゆる裏金事件によって時計の針を巻き戻すようにわが国の政治倫理は後退し国民の政治への信頼は地に落ちている。旧安倍派幹部を党の要職に登用し、副大臣や政務官にも党の処分を受けた議員7人を起用した人事は大変遺憾だが、けじめがついたと考えているのか」とただしました。

これに対し、高市総理大臣は「それぞれの議員が丁寧に、真摯に説明責任を尽くしてきたが、大切なことは二度とこのような事態を繰り返さないことだ。政治とカネの問題には厳しい姿勢で臨み改正政治資金規正法をはじめルールを徹底的に順守する自民党を確立する覚悟だ」と述べました。
その上で「政治への信頼を損ねたことについては、自民党総裁として心よりおわびを申し上げる」と陳謝しました。
そして、企業・団体献金の扱いをめぐっては「企業・団体にとって献金はみずからの政治的意見を表明するための重要な活動であり、必要性や相当性についてよく議論する必要がある。各党の成り立ちや組織のありよう、規模にも十分留意しつつ、真に公平で公正な仕組みとなるよう不断に検討していくことが重要だ」と述べました。
衆議院議員の定数削減について
一方、野田氏は自民党と日本維新の会の連立合意に盛り込まれた衆議院議員の定数削減をめぐり「数の力で強引に決める課題ではない。幅広い合意形成をし方向性を見いだすための議論を重ねていくことが必要だ。定数削減の方向性には賛成だが比例区だけの削減ではなく小選挙区と比例区のバランスを考慮して削減すべきではないか」と求めました。
これに対し、高市総理大臣は「議員定数の削減は身を切る改革として重要な課題であり、自民党としても全力で取り組んでいく。具体的な削減案の策定やその実現に向けて、できるだけ幅広い賛同を得ることが重要だ。今後、与党内での検討とともに各党・各会派とも真摯な議論を重ねたい」と述べました。
「アベノミクス」について
また野田氏は安倍政権の経済政策「アベノミクス」について「結果が出なかったにもかかわらずやめ時を見失いさまざまな課題を引き起こした。当初、目指したトリクルダウンは起こらず富める者が富んだだけで、非正規雇用の増加や実質賃金の低迷に象徴されるように格差の拡大が進んだが、どう評価するのか」と質問しました。
これに対し、高市総理大臣は「アベノミクスはデフレではない状況を作り、GDPを高め、雇用を拡大し、企業収益の増加傾向にもつながった。新型コロナウイルスの影響で雇用状況が悪化したことなども踏まえ評価する必要がある。アベノミクスの評価も踏まえつつ『責任ある積極財政』のもと戦略的に財政出動をすることで不安を希望に変える強い経済をつくっていく」と述べました。
ガソリン税などの暫定税率の廃止について
そして物価高対策をめぐり、高市総理大臣は先に与野党6党の実務者が大筋合意したガソリン税などの暫定税率の廃止について、「政府としては政党間の議論の結果をしっかり踏まえて対応する」と述べました。
日米首脳会談について
このほか、野田氏は先の高市総理大臣とアメリカのトランプ大統領の日米首脳会談について「個人的な関係構築のよいスタートを切れたと拝察するがトランプ大統領をノーベル平和賞に推薦すると伝えたのならば行き過ぎたお世辞外交であり軽率だ」と指摘しました。
これに対し、高市総理大臣は「ノーベル委員会が審査資料を少なくとも50年間は開示しないとしていることを踏まえ、推薦の事実やこれを前提としたお尋ねへの答えは差し控える」と述べるにとどめました。
自民 小林政調会長 成長戦略について

自民党の小林政務調査会長は、高市内閣が「強い経済の実現」を掲げ、危機管理投資を肝に成長戦略を始動させるとしていることについて「まさに政治の要諦は『危機管理』だが、国家戦略として投資を行う意義は何か」と質問しました。
これに対し、高市総理大臣は「AI、半導体、造船、量子などの戦略分野でリスクや社会課題に対し、先手を打って供給力を抜本的に強化するため官民連携の戦略的投資を促進する。世界共通の課題解決に資する製品やサービス、インフラを提供することによって、わが国の経済成長を実現する」と説明しました。
中国で行われた軍事パレードについて
また小林氏はことし9月に中国で行われた軍事パレードに習近平国家主席のほかロシアのプーチン大統領や北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)総書記が出席したことをめぐり「天安門広場に3人の国家指導者が並び立った光景がわが国を取り巻く安全保障環境の厳しさを物語っている。国益を守り国民の安全を確保するためにはインテリジェンスに関する国家機能の強化が急務だ」と指摘しました。
これに対し、高市総理大臣は「政府全体のインテリジェンスに関する国家機能の強化が急務だ。日本維新の会との連立合意書には来年の通常国会での国家情報局の創設などが盛り込まれた。与党と緊密に連携しながら組織のあり方などについて早急に論点を整理し検討を進める」と述べました。
防衛力の強化について
また防衛力の強化をめぐり高市総理大臣は防衛費と関連経費を2027年度にGDPの2%とする政府の目標を今年度中に前倒しして措置する方針について「現下の安全保障環境を踏まえ、自衛隊の人的基盤の強化や活動基盤の強化、運用体制の早期確保などに必要な経費を今年度予算に追加で計上することを考えている。これらが一定額に達するものと見込まれるため、対GDP比2%の水準も結果として達成するものになると考えている」と述べました。
防衛装備品の移転について
さらに防衛装備品の移転をめぐり「救難」や「輸送」など5つの類型に限定している輸出ルールについては、「防衛装備品の移転は、力による一方的な現状変更を抑止し、わが国にとって望ましい安全保障環境を創出するための重要な政策的手段だ。見直しを早期に実現すべく検討を進める」と述べました。
外国人政策について
一方、外国人政策をめぐり高市総理大臣は「一部の外国人による違法行為やルールからの逸脱に対して国民が不安や不公平を感じる状況が生まれていることも事実であり国民と外国人の双方にとって安全で安心な秩序ある共生社会を実現することが重要だ。担当大臣のもと、与党での議論も踏まえ、政府一体で検討を進めていく」と述べました。
憲法改正について
また憲法改正については「憲法はあるべき国の形を示す国家の基本法であり国際情勢や社会の変化に応じた改正やアップデートが必要で、時代の要請に応えられる憲法の制定は喫緊の課題だと考えている。各会派の協力も得ながら改正案を発議し、少しでも早く改正の賛否を問う国民投票が行われる環境をつくれるよう粘り強く全力で取り組む」と述べました。
日本の国旗損壊罰する法整備について
さらに日本の国旗を損壊する行為を罰する法整備について「過去に私自身が刑法の改正案を起草し法案を国会に提出したこともある。日本維新の会との合意書の内容を踏まえ、実現に向けて両党間で具体的な検討を進め、政府としても与党と連携を図りながら必要な取り組みを進めていく」と述べました。
維新 藤田共同代表 「副首都」構想について

日本維新の会の藤田共同代表は自民党との連立合意に盛り込まれた「副首都」構想をめぐり「わが党は首都機能のバックアップや多極分散型経済圏の形成を目的として、いわゆる『副首都』構想を訴えてきた。首都と副首都の責務や機能を整理し、早急に方策を検討することをどう進めていくのか」と質問しました。
これに対し、高市総理大臣は「政府はこれまで首都直下地震により官邸が使用できない事態を想定し、緊急災害対策本部の代替拠点の確保などの取り組みを進めてきた。連立政権の合意書では臨時国会中に両党による協議体を設置し早急に検討を行うとされているので与党にしっかり検討を進めてもらいたい」と述べました。
医療や介護などの分野の処遇改善について
これに加え、高市総理大臣は医療や介護などの分野で働く職員らの処遇改善について「診療報酬などの公定価格について賃上げや物価高を適切に反映させる。報酬改定の時期を待たず経営の改善や職員の処遇改善につながる措置を行い効果を前倒しする。まずは経済対策とそれを裏付ける補正予算案に必要な施策を盛り込むべくスピード感を持って対応する」と述べました。
「メガソーラー」の法的規制について
また連立合意に盛り込まれた大規模な太陽光発電施設「メガソーラー」の法的な規制について「再生可能エネルギーは地域の理解や環境への配慮を前提に導入を進めていく。関係する規制の総点検を行い連立政権の合意に基づき法的に規制する施策を実行していく」と説明しました。
立民 野田代表「明快な答弁だったとは思わない」
立憲民主党の野田代表は記者団に対し「全体として『検討する』という言葉が多く明快な答弁だったとは思わない。政治とカネの問題にけじめがついたのかと聞いているのに答えず、日米首脳会談でノーベル平和賞にトランプ大統領を推薦すると伝えたのかどうかも極めてあいまいだった」と述べました。
その上で「中道路線をしっかりと貫き、国民生活、平和、自由を守るためにブレーキ役を果たすのがわれわれの役割だ。内閣支持率が高いとイケイケになる可能性があるのでしっかりチェックする役割を果たしていきたい」と述べました。
維新 藤田共同代表「おおむね非常に前向きな答弁」
日本維新の会の藤田共同代表は記者会見で「連立政権の合意文書で締結した『12本の矢』について主に細かく聞いたが、おおむね非常に前向きな答弁をいただいた。これを実現することが国民に約束を果たすことになるのでしっかりと進めていく」と述べました。
また、物価高を受けた政府の経済対策について「合意文書にある項目で、補正予算で対応しなければならないところが結構ある。ガソリン税の暫定税率の廃止や電気代・ガス代への補助なども盛り込んでもらいたい。各部会から意見を集約して進めていく」と述べ、党としての提言をまとめる考えを示しました。