石破総理大臣は高市内閣の発足を前に21日午後、1年余り執務にあたった総理大臣官邸をあとにしました。
午後0時半ごろ、総理大臣官邸の玄関ホールには林官房長官をはじめ、官邸幹部や職員およそ100人が集まり、石破総理大臣は一人一人にお辞儀をしながらあいさつをして回りました。
そして、花束を受け取り、拍手で見送られながら、総理大臣指名選挙が行われる衆議院本会議に出席するため国会に向かいました。

官邸を出る際、記者団に対し「職員に支えていただき、与野党にも支えていただき、多くの国民にも支援をいただいたことを心より感謝している。1年だったが本当にいい仕事をさせてもらった。内政も外交も道筋をつけなければならないことがきちんとできたのは、本当に皆さん方のおかげだった」と感謝を述べました。
その上で、新しく発足する政権について「分断と対立ではなく、連帯と寛容、そして国民一人一人に謙虚に真摯(しんし)に誠実に語りかける政権であってほしい。私も努力をしたい」と述べました。
一方、鳥取県出身の議員で初めて総理大臣を務めたことについては「ずっと変わらず支えていただいた地元の皆さんのおかげで、こんにちがあると心底思っている。全国最少県で総理大臣を出していただいたことは、感謝以外の何物でもない」と述べました。
石破総理大臣談話
これに先立ち、石破総理大臣は内閣総辞職にあたり総理大臣談話を出しました。
この中で「『すべての人に安心と安全を』との方針のもと、本当に困っている方々や苦しんでいる方々に手を差し伸べたいとの思いで取り組んできた」としています。
そして、日本を世界一の防災大国にするため内閣府の防災担当の人員や予算を前年度から倍増させ、来年度に防災庁を設立する道筋を作ったほか、賃上げと投資がけん引する成長型経済の実現に努め、今年の賃上げ率が33年ぶりの高水準となったと強調しています。
さらに、地方が成長の主役となるよう地方創生を推進し、国の職員が自治体に寄り添って支援する制度を創設するなどの取り組みを進めたとしています。
外交では国際会議なども活用し、92か国・4つの国際機関とのべ169回の首脳会談などを重ね、関係強化を図ったとしています。
また、アメリカの関税措置をめぐっては「関税よりも投資」との一貫した方針のもと、日米双方に利益となる合意を実現し、国内産業への支援にも万全を期したとしています。
このほか、コメの増産に向けた政策転換や大阪・関西万博の成功、戦後80年に合わせた所感の発表なども成果として挙げています。
最後に「少数与党という厳しい状況の中にあって真摯(しんし)かつ丁寧に各党各会派に向き合い、国民に誠実に語る姿勢を持ちたいとの思いで全力を尽くしてきた。国民の理解と協力に心から感謝する」と結んでいます。
《石破内閣 各閣僚のコメント》
林官房長官 “賃上げや米関税措置めぐる合意で成果”

林官房長官は午前の閣議後の会見で「石破政権は賃上げと投資がけん引する成長型経済の実現に向けて、春闘での高水準の賃上げや最低賃金の過去最大の引き上げなど着実に成果を上げた。アメリカの関税措置をめぐって国益を守りつつ、双方に利益となる合意を実現したほか、大阪・関西万博を成功裏に終わらせるなど、さまざまな政策分野で取り組みを進めることができた」と説明しました。
その上で「新政権ではこれらの成果を最大限活用しながら内政および外政の政策を推進してほしい。国民の石破内閣への理解と協力に感謝するとともに新政権・新総理大臣に対してもより一層の支援を賜るようお願いしたい」と述べました。
加藤財務相「物価高騰に十分応えられず」

石破内閣の総辞職に伴って退任する加藤財務大臣は閣議後の会見で、少数与党となる中、初めて衆参両院で修正されて成立した今年度予算などをふりかえり、「各党の主張を真摯に受け止め、国会での議論が反映された結果であり、熟慮・熟議の国会の成果だ。衆参両院で少数与党となる中、各党の協議はこれからますます重要になる」と述べました。
また、物価高への対応について「物価高騰に対する国民の不安は引き続きあり、さまざまな批判もいただいている。丁寧な対応を図ってきたつもりだが、十分に応えられてないということがあり、次の政権においてしっかり対応してもらいたい」と述べました。
その上で、加藤大臣は今後の財政運営のあり方について「物価への対応と経済の力強い成長を推進し、その中で財政健全化を図る。また、財政健全化を図りながら経済成長を図ることが結果的に国債などへの信頼につながる。現状の経済をどう認識していくのか、それに対してどういったバランスで、個々において具体的な政策手段をとるかに尽きる」と述べました。
小泉農相「コメ価格安定に全身全霊尽くした」

小泉農林水産大臣は閣議後の会見で、コメの価格を引き下げるため、随意契約で割安な備蓄米を放出したことなどを振り返り、「コメの価格の安定を必ず実現するとの思いで全身全霊を尽くし、生産を抑制する農政から需要に応じて増産する農政にかじを切った。新米の収穫量は近年の最大の水準となり、コメの不足感が払拭(ふっしょく)されたと言える新たな段階に入った」と述べ、取り組みの意義を強調しました。
その上で「再来年度以降のコメの政策の転換が大きなテーマとなるのは、次の体制がどうなっても変わらない。頭の体操を含めた議論の積み上げはやってきたので、新たな大臣に引き継ぎたい」と述べました。
中野国交相「防災減災・復興をど真ん中に取り組んだ」

中野国土交通大臣は、2012年以降、およそ13年にわたって公明党の議員が国土交通大臣を務めてきたことについて、閣議後の会見で、「公明党に所属する一議員の思いとして、わが党は、防災減災あるいは復興を政治のど真ん中に、政策の主流にしていこうと申し上げ、国土交通行政として一丁目一番地ということでずいぶん取り組んできた。また、国民の声、現場の声に1つ1つに丁寧に応えていこうという思いで、それぞれの大臣が政策課題に対応してきた」と述べました。