グッドバイ | トムのブルース

トムのブルース

NO FUTUREな飼い主と、敏捷性に欠けているアビシニアン“トム”のブルース。トムさんは旅立ってしまったけれどブルースは鳴り続ける。

一年お付き合いした彼女に振られてしまった。

将来のビジョンが見えない、一緒にいてつらいなんて言われたらもう何も言えない。

しかもこっちはそんな事にも気付かず一生この幸せが続くと思いこんで漫然とお付き合いを続けていたのだから最悪だ。

つらい思いをさせてしまった事を申し訳なく思う。


この一年はもう自分には一生無いと思っていたような人生史上最大幸福期間だった。

楽しい思い出しかないし、彼女の良いところしか浮かばない。

8年ぶりに出来た彼女は、本当に嫌なところが何一つなく、一緒にいて楽しくて、世界一大好き、世界一かわいいと誰にでも堂々と言えるような彼女だった。

未練しかない。

ゆえにまた独りの人生に慣れるにはかなりの時間を要すると思う。

彼女と会えなくなった世界は今はただの地獄にしか見えない。

しかしルルちゃんとヨギちゃんという天使たちのためにも生きなければいけない。


猫たちも彼女のことが大好きになってたからもう会わせてあげられないのもつらい。





つらいのに彼女との写真を見返すのがやめられない。

もう夜中に手を繋いでコンビニに行くことも出来ないし、一緒に料理も作れないし、

ボルダリングをやる予定も、温泉旅行の予定も、予定のまま終わった。

こういうつらい気持ちは時が経てばマシになるとは言え、トムさんの事も未だに写真を見てると泣いてしまうくらいつらいのに、いつになったら平気になるのだろう。

おそらくもうこんな良い出会いはなく、一生独りだろうからこのつらさを一生引きずって生きる事になるのかもしれない。