ドアを開けたときの
空気の匂いと日の光、
猫がチラ見をして物陰に隠れる様子、
すれ違う見知らぬ人をいつか見たような気がするとき、

わたろうとする道を、そのずっと先までを思い描いたとき、
それからお互いに理由もなく身近さを感じるとき、

手を握った感じはひとりひとり違う
それはそれぞれの人の物語


わたしたちが水の中にいるのなら
いつもからだ中を包みながら
物語があわ立ち水面へ消えていくのを
感じるだろう

求めて得るものと
瞬間瞬間の小さな物語の泡
地球の反対から一巡りして
川面でくるっと回ってからわたしに触れる風のように


あなたを包んでいる今日の泡を
わたしに話しておくれ

泡とあなたにくちづけをするから

それとも黙って座り、
肩と腕を伝って
物語が二人の中を一巡りするのに任せるのがいい?