肌寒い中に、浮世を離れて、桜の花と月、
 人がいなかった時代、わずかの人しかこの土地にいなかったはるかな昔、戦乱の中、いつかは花嫁と花婿を祝う人たちの酒宴、多くの人がやってきて街を作った時。
 そんなことのすべては語ることが出来ない。

 わたしが生きるのも、そのような中の一瞬。
 そのときの月かもしれないが、そのときの桜の花びらではない。


 わたしは、このすべてに向かい合い、あるときは一瞬の隙もなく100%脳を動かし、手を体を動かし、あるときは生み出し難いビジョンを生むために感覚を広げ、
 あるときは、出会いと別れと、その間の心のふれあいに感謝し、
 あるときは、笑い、笑わせ、酒を飲み、本を読み、

 そして、それでもまだ時が残されていることを楽しみに思う。

 古の詩は素晴らしいし、そのように歌うことは出来ないけれど、
 わたしたちは、明日もたくさんの人と言葉とまなざしを交わすことが出来る。