『韓国がわかる。ハングルは楽しい!』 金裕鴻 PHP新書(2002)
韓国文化院大阪の図書館で借りました。
(2冊まで貸出可能/2週間以内)
キム・ユーホン先生といえば韓国語の元祖カリスマ講師!
NHK国際局のアナウサーであられるだけあって、発音明瞭、明るく爽やか!
昔の韓国朝鮮研究の専門家が言語の先生含め、ほとんど重苦しいタイプだったのに比べ
キム・ユーホン先生は明らかに違うタイプでしたね!
その場がパッと明るくなるような。
そういえば2000年ごろ一度だけ私もユーホン先生の授業を東京で受けたことがあります。
市民講座もされていたから…。どこだったかな?どこかの体験レッスンだったか一回講座だったか。
初級レベルでちょうど「数字」を勉強する回だったのですが、すごく面白かった記憶があります。
今どうされているのかと検索すると≪1933年ソウル生まれ1955年来日≫現在82歳でいらっしゃいますが
この夏にも講演会をされるなど、まだお元気で活動されているようです。
講演会の様子はハン検協会のHPで動画を見れます。
http://www.hangul.or.jp/seminar/index.php
上記の本は2002年、日韓ワールドカップの年に書かれた本です。
爆発的な韓流が起こる前の時期なので、内容は初心者向けなアウトラインです。
1、エッセイ(文化の違い)
2、ハングルのつくり
3、韓国語基本文法
4、きまり文句
第一章のエッセイを面白く読みました。
今はもうよく知られているかもしれない文化の違いがいくつか書かれてますが、
ユーホン先生の目を通して書かれた文体に思わず笑ってしまうことも。
例えば93ページ
「…ところが何かにつけて団体行動をとりたがる日本人が、
その一方で1人になりたがるのも興味深いことです。韓国
からの研修生がお昼にNHKの食堂に入ってびっくりするのは、
ほとんどの職員が1人で食事をしているということです。
まずショーケースの前に立ってじっと品定めをします。隣に
知り合いがいるのに気がつくと軽く会釈をしますが、すぐに
食券の自動販売機に並んでチケットを買います。それから
お盆を持って並び、黙ってご飯やおかずをもらうと、お盆に
載っているものを落としたりこぼしたりしないようにじっと
見つめながら、空いている席を探してテーブルに置きます。
あとはひたすらお盆の上を見ながら黙って食べ続け、
食後のお茶を飲み終わったら、フッとため息をついて
食器を返してから自分の職場に戻る、という具合です。…(後略)」
よく見ているな~と思いました。^^
たしかにね。
韓国人なら、ご飯は一緒に食べるものなので
知り合いがいるのに1人でっていうのは考えられないだろうと思います。
あと86ページ
「…ところで日本人は定食を食べるとき、ご飯とおかずの量や
品数にかかわらず、ご飯を半分食べた時におかずも半分食べ終
わり、ちょうどおかずがなくなったときにご飯もなくなります。
私はこれを見るたびに本当に感心します。日本の定食やは基本
的におかわりできないから、そうなのでしょうか。韓国では、
どんどん食べて、おかずがなくなっても頼めば追加をしてくれ
ます。それで無計画な食べ方をするのではないかと思います。
…(後略)」
「無計画な食べ方」って。(笑)
けどたしかにそうですね。何でしょう。私たちはご飯とおかずが同時になくなるように
計算して食べてるんだなあと、指摘されて初めて知りました。^^
韓国ではサービスのおかずは残してもいいし、足らなければ「もう少し下さい」と言えばいいですもんね。
ちょっと古いなと思うのは29ページ、ースムニダ体が好ましいという話。
(韓流前に書かれた本なので、女性学習者がこんなに増えるという想定はなかったのでしょう)
スムニダ体とヘヨ体について、たしかに男性は「スムニダ体」が初対面ではフォーマルで好ましいですが、
女性はそうとも言えないと思います。なのでうちの教室は初期からヘヨ体で勉強しています。
あと、「天気の話題」(47ページ)は、
別の所でも「日本人は天気の話ばかり…(うんざり)」という記事を見たことがあり
そうなのかなー?という感想です。
あと63ページのケンチャナヨの解説
以前NHKで講師をしていた某先生の説は、私も長年疑問に思っていたので
これはユーホン先生も否定されているということで、やはりという感じです。
(ケンチャナヨが、ー水をこぼした人がこぼされた人に言うー ということについて)
「講師が自分の経験をもとに教室で話すには問題ないが、
NHKの講座での解説が多くの人に影響を与えることを考
えると、もっと慎重であってほしいとネイティブの一人
として思うのです。」
最後に、
韓国語の勉強の仕方が人によって様々なのは大いに頷くところです。
40ページ
「韓国語に限らず一般的に言葉の覚え方には、大きく分けて
聞いて覚える方法と見て覚える方法、つまり耳で覚える方法と
目で覚える方法の2つがあります。人によって好みがあり、
文字が読めなくても立派に会話のできる方がいる一方で、
挨拶をすることも億劫なほど会話が苦手なくせに、難しい
書物を読みこなしたり翻訳したりできる人がいます。また
歌や念仏のように丸暗記する人がいる一方で、一句一節
理屈で納得しないと先に進めない人もいます。…(中略)
何よりも自分に合った勉強法を見つけることが大切です。」