パリのセーヌ川の中洲にあるレストランでの光景を描いた一枚。
ピエール・オーギュスト・ルノワール 《舟遊びの人々の昼食》1881年 ワシントン・フィリップスコレクション
描いたのは印象派の画家、ルノワール。
楽しげな若者たちの休日の団らんが大きな画面いっぱいに表現されています。
時は19世紀の後半。
この時代のパリは鉄道網が整備されたこともあり、パリの市民達は日曜日になる度に、郊外の行楽地へと出掛けていったんだそうです。
(家に引きこもってばかりの人も勿論いたでしょうが。)
さて、この絵を描いた画家ルノワール、その明るくて楽しげな作風から、『幸福の画家』とよく呼ばれます。
これを聞くとどこかの宗教団体を連想したり、頭の中お花畑の脳天気ハッピーおじさんみたいなイメージが思い浮かぶかもしれませんが、そうではありません。
ある時ルノワールはどうして女性や家族ばかりを描くのか尋ねられた時、こう答えたそうです。
「人生には不愉快な事柄が多い。だからこれ以上、不愉快なものを作る必要はない。」
そう、だからルノワールは幸せな絵ばかりを描いたんです。
晩年、重いリューマチを患ったルノワールは、歩くことが出来なくなり、とうとう絵筆を握ることすら出来なくなりました。
それでもルノワールは自分の腕に絵筆を縛り付けて絵を描き続けました。
自分の描いた絵を見た人皆が幸せな気持ちになって欲しい、そう願っていたんだと思います。
そうしたルノワールの想いがあったからこそ、現代でも多くの人々にその作品の数々が愛され続けているんだと思うんです。
さて、話を現在の我々の生活に移しますと、「今色々、ってか全部辛いよね、大変だよね。」って方多いと思うんです。
子供も大人も外に遊びに行けないし友達にも会えない。
この絵の中の人々の様にカフェやレストランで皆で楽しく食事する事すらもままならない。
これまでは当たり前だったアレもこれも出来ない、出来ない、出来ない。
でもそんな今だからこそ、ルノワールの絵の様に明るく、そして今は後ろ向きなことは考えない。
今は「Stay Home」で一丸となって、また夏になったらビアガーデンで皆でキンキンのビールをたらふく飲みたいなぁ。