大千住 美の系譜―酒井抱一から岡倉天心まで― 足立区立郷土博物館。 | あおきゅーのぶらぶらアートブログ。

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大千住??
 

 

北千住でも南千住でもなく大千住??

 

 

 

そんな訳で今回やって来たのは、
千代田線亀有駅から路線バスに乗って5分程、足立区立郷土博物館

 

 
足立区郷土博物館は1986年に開館した博物館で、
この千住をテーマにした展覧会は足立区立郷土博物館で過去に何度か行われているキラーコンテンツの様です。
 
“文化遺産調査特別展「大千住 美の系譜―酒井抱一から岡倉天心まで―」”
《会期2018/10/30-2019/2/11》
 
(のぼりまで製作する程 気合いが入ってます。)
 
ちなみに展覧会タイトルの“大千住”ですが、
隅田川以北の千住地域は以前、大千住と呼ばれていたそうでして、
江戸時代以降、酒井抱一谷文晁など、多くの絵師が住んでおりました。
 
それは明治以降も変わることなく、柴田是真河鍋暁斎
さらには岡倉天心横山大観といった日本美術院の画家達もこの近辺を生活のベースにしておりまして、
その理由は接骨の名医であった千住の名倉家が画家たちのパトロンとなっていた為なのです。
 
 
 
その接骨の名医の名倉家ですが、現在も北千住の地でしっかりと生業を継続しておりまして、
実は僕自身、ちょっとお世話になった事がございます。
 
かれこれ数年前、当時勤めていた会社で、北千住の駅を利用している人達で“北千住会”なる飲み会がありまして、
そこに参加していた僕は酔っ払って居酒屋で転んでしまい、右手首を挫いてしまったのです(←アホ。)
 
 
酔っていたこともあったのでしょう、その時はあまり痛みも感じず翌日も会社に出社したのですが、
会社で段々と痛みが増してきまして、午後の大事な会議を欠席して、
当時の会社から近かった御茶ノ水にある名倉医院の別施設である名倉クリニックに行ったところ剥離骨折をしていた事が判明したのです。
 
名倉様のお陰ですぐに良くなったのですが、意外なところで繋がりがあるもんですね。
 
 
 
さてさて、前置きが長くなってしまいましたが早速展示室へ。
 
展示室内は郷土博物館とは思えない、まるで日本画の美術館の様な展示となっています。
 

 

早速こちらは琳派の絵師、鈴木其一の門人である村越其栄
江戸時代後期に描いた《紅葉鹿図屏風》

 

 
 
琳派特融のデザイン性の高さと、何故かあんぐりした表情を浮かべる鹿。
 
 
 
 こちらは先程の《紅葉鹿図屏風》を描いた村越其栄の弟子、
村越向栄が12ヶ月を一枚ずつ題材に描いた《月次景物図》
 
 
琳派の絵師と言うと、私淑による直接の教えによらない点が特徴なのですが、
ここでは、『酒井抱一 → 鈴木其一 → 村越其栄 → 村越向栄』 という直接の師弟関係があるんですね。
 
 
ただ、この村越向栄の作品を見ていて思ったのは、
 
 
あんまり上手くねぇなぁ・・・
 
直接教えを受けても、弟子が優秀とは限りませんからね。
 
素人目にもたらし込みの表現がくどかったり、
鳥の表情や形が全然生き生きしてないんですよね。
 
まぁそれはそれでユーモアがあって面白いとも言えますが。
 
 
 
さて、続いてこちらは酒井抱一が描いた《菊児童図》
 
 
余白すごいな。
 
 
 
続いてこちらは岡倉天心から名倉家に宛てた手紙↓
 
 
書かれた文字、ほぼ読めませんがな。
 
 
尚、宛先に、『千住五丁目 名倉老先生』 と書いてありますが、
よくこんなきったない字で届いたもんですね。
 
 
 
他にも河鍋暁斎が得意としたカラスの絵や、
 
 
その娘、河鍋暁翠が描いた作品も出展されております。
 
 
パトロンと、その地域に根差した交流などについても触れられており、
中々面白い内容の展覧会でした。
 
 
 
また、余談ですが、郷土博物館には東渕江庭園という、
池泉回遊式庭園もございまして、地域の憩いの場となっております。
 
 
しかも鯉のエサやりが無料で出来ます。
 
 
ただし無料で誰でも気軽にあげられる為なのか、冬で池の水が冷たいからなのか分かりませんが、
どの鯉ものそのそとやる気なく餌を食べておりました。
 
全くハングリー精神の感じられない鯉達でした。