ロンドンの理髪師の家庭に生まれたターナーは、幼い頃は学校教育をほとんど受けずに水彩画を学ぶ。
若いときから才能を発揮したターナーは27才の時にはイギリスのロイヤル・アカデミーの正会員となる。
当初はイギリス各地を歩き、地誌的な風景画を描いておりましたが、その作風は次第に自然や自然現象に向けられていきます。
そのきっかけとなったのが、44才の時のイタリア旅行。
イタリアの明るい日の光、ルネサンス以降の芸術の数々、美しい町並みなどに影響されたターナーは、自身の作品の画面上に大気や光の効果を取り入れていきます。
そうした自然現象を画面に取り入れた作風は印象派への先駆けとも言われており、革新的な画家として、本国イギリスのみならず世界中で現在も愛されています。
というターナーさんの展覧会にやって来たという訳なんです。
が、ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、僕は個人的に風景画はちょっと苦手なんです・・・
先日このブログで、現在も絶賛開催中の風景画を集めた展覧会、“プーシキン美術館展”のことを酷評してしまい、読んでくださっている皆さんの展覧会行きたい意欲を損なってしまったと反省していたのです↓
せっかく展覧会の楽しさを伝える為に始めたブログなのにこれではいかん!!
今回の“ターナー展”の魅力をしっかりと伝えなければ!!
と、鼻息荒く興奮状態で展示室の中へ!!(←やべー奴が展示室に入って来ちゃったよ。)
うっわー、土曜のお昼過ぎのピーク時とは言え結構混んでるなぁ。
ギュウギュウではないですが、作品によっては人の肩越しに作品を見るくらいでしょうか。
しかもターナーの絵は人物や動物が小さいんだよなぁ。(←早速文句を言う。)
《ソマーヒル、トンブリッジ》1811年展示 油彩・カンヴァス エディンバラ、スコットランド国立美術館群
う~ん、小さくて鳥も牛もよく分かりませんなぁ。
やっぱりなんだか、ぼや~っとした作品ばかりだなぁ。
しかも混んでて落ち着いて見れないなぁ。
と、思いながら作品を眺めていると気になる作品が、
《ストーンヘンジ、ウィルトシャー》1827~28年 水彩・紙 ソールズベリー博物館
あら~、ストーンヘンジで羊飼いが羊たちと一緒にお昼寝しちゃって、うふふ♪
と思っていたら雷に打たれたところだとか
一体どんなシチュエーションだよ・・・
みんなぐったりしちゃってるし。
仲間の容態を気にしてる羊もいますがw
笑ったらダメなんでしょうが展示室で一人で何だか笑けてきちゃいましたよw
確かにターナーが自然現象に興味があるのは知ってるけど、よくテレビで見る様な衝撃映像じゃないですかこれ・・・
自然現象なら何でもいいのか・・・
あとターナーの作品を見ていて何だか全体的にやけに黄色っぽい作品が多いなぁと思っていたら、ターナーは黄色が好きだったんだそう。
逆に緑は嫌いだったとか。
ポケモンだとフシギダネよりピカチュウ派ってことかしら。
さて、日本と同じ島国のイギリスにおいて、海景画は重要なジャンル。
ターナーさんも数多くの海を描いていますが、その海は牧歌的とは無縁の荒々しい海ばかり。
《セント・オールバンズ・ヘッド沖》1822年頃 水彩・紙
もう陸に戻った方がいいのでは・・・?
《風下側の海岸にいる漁師たち、時化模様》1802年展示 油彩・カンヴァス サウサンプトン・シティ・アート・ギャラリー
いやいや、絶対無理でしょwww
もはや台風の日に意気揚々と海に出ていくサーファーと一緒ですよ・・・
また、今回の展覧会の出品作品ではありませんが、先日テレビ番組『美の巨人たち』で特集された《難破船:乗組員の救助に務める漁船》も、そんな海の脅威を表現した一枚。
《難破船:乗組員の救助に務める漁船》1805年作 油彩・カンヴァス
(※今回の出品作品ではありません。)
ほらー、言わんこっちゃない・・・
どの絵もおとなしく海に出るのは諦めて家に帰った方がいいと思いましたが、現代人の我々も台風が接近する中、会社に出社したりしなければならないことありますからね。
そんな感じなのかなぁと余計なことを思いながら見てました。
また、現在程気象学も発達していないでしょうから、突然の嵐に巻き込まれることも多々あったのでしょうね。
さて、そんなターナー展。
崇高なる自然の表現を追い求めたターナー。
今回の展覧会ではターナーが若い頃に描いた地誌的な作品、ダイナミックな海景、イタリア旅行で得た自然美溢れる作品、神々しい雰囲気漂う山岳の絵の数々が展示されています。
水彩画、油彩画、版画、デッサンといった様々な技法で描かれた貴重なターナー作品でいっぱいです。
一人の画家の似たような作品ばかりなので途中で退屈になったり、また休日は結構混んでますが、まぁ訪れてみてもいいのかもしれませんよ。(←結局そんなに魅力を伝えられてない。)