長崎県長与町岡郷の旧農園地域に眼鏡橋(1眼橋)が2橋健在でした。今は宅地開発されている前川内地区。国道207号の山手側バイパスのコンクリート製新橋そばにひっそり架かっていました。

 橋は四釜川に架かる「四釜橋」と、バイパスをさらに北に向かって1キロほどの満永川に架かる「満永橋」。川と言っても、いずれも幅・深さとも2メートル前後。ミカン園と水稲栽培が盛んだったころに農地を潤した谷川です。眼鏡橋は安山岩。円周率にかなった半円をきれいに残しています。一部、表面が剥落していますが、健在です。

 四釜橋はコンクリートの新橋の上流部隅で雑草に覆われ、半円橋を隠しています。満永橋は上流から見ると、美しい半円をくっきりと現しています。

 四釜橋たもとに住む男性は「子供の頃はきれいな水が流れていて、食器や野菜の洗い物をしていた。魚も捕れよった」と思い出を語り、満永橋の川沿いに住む男性は「昨年97歳で亡くなった祖父は誕生前からあったと話していた」と言い、いずれも築100年近くになりそう。

 町役場の担当課職員に聴くと資料を手に「昭和40年架橋となっているが、これは、おそらく新しい橋のことでしょうね」と話していた。まだまだ町内には貴重な眼鏡橋がありそうです。

 発見のきっかけは新年の村社参りでした。妙見社がこの前川内にあり、川を渡っていて、なんだか石橋の雰囲気を感じたのです。福岡時代、八女・立花町の眼鏡橋を取材して歩いた時代の空気を感じたのでした。懐かしい感覚です。