主人公は独り者のハリネズミです。
友達と会話がしたくて訪問者をひたすら待ち続けますが、やってきません。招待状を出そうとしますが、なぜか書き出せません。ハリネズミ君は体の針に引け目を持っているようです。そんな大人向けメルヘンでしょうか。
招待状を書いてみますが、納得の文章にはなりません。もしも訪問に来たらどう接待すればいいのか、などと悩んでしまいます。
そのうち、自分は訪問客を待ってなんかいないのでは?と思い至ります。もしも来てしまったら、と悩んでしまいます。ふと 鏡に目がいきました。
当日付け読売新聞に、このメルヘンの続きを読むような記事が「くらし」面の連載にありました。「複雑性PTSD」の心理療法の解説です。「コンパッション・フォーカスト・セラピー」というらしく、静かに自分の心の音に耳を澄ませ、苦しんでいる自分や他者を思い、苦を除くように願うーー、こんな療法のようです。さて、ではハリネズミ君は晴れて誰の訪問を受けるのでしょうか。