長崎の町をギャラリー散歩よろしく、歩き回っていて、またまた歴史と町人の町・長崎の風情を醸していた町家の店じまいの姿を目撃した。

 諏訪町の中島川沿い左岸、東新橋のそばにあった「川端饅頭」店。解体準備の家具調度品の撤去作業が行われていた。聞くと、一人暮らしで頑張っていた店主が一昨年11月に亡くなり、後継者を探していたが結局、見つからず、解体工事に着手となったらしい。

 木造二階建ての落ち着いた一戸建てだった。両隣は古美術店と、書店兼カフェの入った小さなビル。中島川の対岸にはカステラ店が並び、眼鏡橋の観光客がたむろする広場もあり、チリンチリンアイスを求める姿をよく見かける。この対岸からも、木製板の「川端饅頭」の看板が目立っていた。

 ネット情報でも、長崎名物カステラの名店と並んで紹介されるほどの人気饅頭店だ。私も現役時代、職場の〝持ち寄りおやつ〟として買い出しに来ていた。おはぎも破れ饅頭も安くてうまい! で、職場持参用とは別に一個余分に買い、歩きながらパクついていた。

 歴史を伝える料亭や商家、町家の解体が止まらない長崎。料亭「春海」や「富貴楼」に続き江崎鼈甲店…。一方で、大黒町、元船町、幸町など、次代を見据えた新しい街づくりが進む。

 目まぐるしい変わりようの「長崎改造」。地域の歴史を踏まえた街並み造りを期待したい。川端饅頭店の後には、どんな建物が登場するのでしょう。