長与町・嬉里中央公園の西南側角に高さ1メートル余りのソテツが植えられています。太さは直径15センチ余りか。1本のようですが、根に近い幹部分から枝分かれして太く育ったもう1本の幹が独立したように伸びて、2本あるように見えます。その幹の天辺の形が目を引きました。まさに「擬宝珠」。実はこれ、花だそうです。調べると花が咲くのは珍しく10数年に一度のこと!とされているようですが、このソテツもそうなのでしょうか。
ソテツはインド、フィリピン原産といい、仏教伝来とともに日本に持ち込まれた、あるいはキリスト教伝来に伴って教会に植えられた、などと諸説あるようです。国内では「九州南端・南西諸島」の海岸端などに自生、宮崎・都井岬を北限とする、とありました。
擬宝珠といえば寺院にまつわる神聖な意匠の印象がありますね。ですが今や、橋の欄干などに見られるように、生活空間に定着した作り物です。
同公園周辺には、桜をはじめツツジなどが植えられ、春には周辺の土手にツクシたちが顔を出しています。この公園近くに行きつけのベーカリーがあります。そばを通るといつも子供たちの歓声が響き、ソテツを見ると、まるで寺院境内で遊んでいるように思えて、なんだか穏やかな気分になります。
ともあれ、ソテツが何ゆえに寺院境内に重宝されているのか、この「擬宝珠」を思わせる神聖な花の姿に因縁を見た思いがしました。