暗渠の陰に石段のようなものが残っているー。

 長与の中央道を常林橋バス停から山側に逸れ、嬉里谷に向かう幅約2メートルの町道。左へ大曲りする所に暗渠があり、琴の尾岳の水が流れ下っている。

山手に向かって側溝の左は民家、右側はミカン畑。

 この石段は自然石に手を入れて段々状にコンクリで固めて造ってある。全4段。一枚約30センチ四方か。最初に平たく薄い石を敷いて1~3段まで厚めの石を重ね、そして4段目はコンクリで道側と固めたようだ。幅約30センチだが、階段の全高は約1メートルになりそう。

 一緒に固めた道路は実は旧農道。牛馬、トラクターの路だったようだ。この辺一帯は田畑だったそうで、宅地開発が進み、その上を今は普通車が楽に走れる白い生活道路が重ねられた。昭和の上に平成が重なったような姿だ。この深い側溝も、昭和の戦前・戦後はカエルやドジョウ、小鮒が泳いだ畦の水路だった。

 世の変化は決して「御破算に願いましてはー」ではなく、努力を重ねながら変わっているーそんなことを語ってくれる「小さな石段」です。これも〝昭和長与〟の生活遺産。

まるで小人の石段?田んぼを潤した水路