強い風雨の轟音で午前6時ごろ目が覚めた。台風5号が何度も何度も豪雨を見舞う。
ザーに始まり、すぐにゴーと大粒の雨が雪崩となって打ち付ける。雷鳴は聞こえない。
その自然の叫びに交じって、何やらゴットンと音がした。サッシの隙間から見ると、下のマンション駐車場の車のそばに男性が一人、嵐の中、車に乗ろうとしている。勤務なのだろう。すぐそばなので顔の表情も判明できる。淡々と仕事に行く、といった感じだ。ご苦労を思う。
急に降り出したかと思うとピタッと止む。この繰り返しのゲリラ豪雨。
玄関の郵便受けには新聞が当たり前のように差し込まれていた。いつものようにビニール袋に入れて。大変な作業だと思い至り、はがしたビニール袋を丁寧にたたんだ。
「安倍政権の6年半に審判 参院選きょう投票」と1面トップ。その肩には「五島、対馬に大雨特別警報 台風5号影響 避難指示3万9000人」と、この台風情報を伝える。妻は長与川を渡って北小学校で投票だ。川は大丈夫か。
パソコンを開ける。と、ヤフーのトップ帯に「警戒レベル 土砂災害 長崎県西彼杵郡長与町などの地域で大雨の警戒レベル3にあたる状況です」とあるではないか。
えっと思ったものの、パソコンを見るといつもの、よそ事の情報のようにとらえてしまう。
そうか、中央からの今、ここの危険の知らせか! 高齢者の自分への知らせなのだーと思い至るまでに少々時間がかかった。
地元の地図を眺めると避難先が分かる。集落センターか町役場。耳を澄ますが、防災放送は聞こえない。家人は隣の部屋で就寝が続く。町内の皆さんはこの警戒レベル情報をパソコンを開いて見ているのかどうか……。