サッカー試合を見てると、いかにアシストが大事かが分かる。主役を生かし引き立てるいわば名バイプレイヤーだ。
ということで、一気に「長男次男の話」。いかに次男が大切な存在か。
長男も次男も互いを見習い、けん制しながら自分の立場を確立していく。
農村地帯を歩くと、広い田園地帯で若い夫婦が泥まみれになって野菜畑の手入れに勤しむ風景に出会う。出来具合を尋ねると、おやじさんに聞いてくれと屋敷の方を振り返る。見ると座敷にどっしりと老人が鎮座して夫婦の働き具合を眺めている。
広い畑を二分する農道を進み、おやじさんに話を聞いた。
若い長男夫婦は家屋敷、山林、農地の継承を希望に、土まみれも厭わず農業をしているのだ。では次男、三男たちは…。
また話は変わって、作家五木寛之の名作「青春の門」は九州・筑豊が舞台だったが、彼自身は農業地帯の筑後が故郷なのだ。戦後、五木一家は朝鮮半島から命からがら故郷に逃げ帰えったが、暮らしの援助を請った親戚からは石礫の扱い。故郷は憎しみの地になったという。
そんな彼が筑豊に親しみを持つのは、炭鉱夫たちの中に多くの筑後から来た次男、三男たちがいたこと。彼らも故郷に身の置き所を失い、追われた同じ境遇の若者たちだった。
さらに、昭和30年代の高度成長期、筑豊は石炭景気に湧いた。当然、坑木も不足した。そこで農村に林立していた太い孟宗竹を坑木の代用として刈り出したという。しなりがあって坑木より強いという。筑後は竹林も多かった。
次男と孟宗竹。同じ時代の運命を生きた主役を引き立てる名アシスト的存在だった。