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もしも、そんな奇跡が起きるなら。
彼女が私と同じ気持ちになってくれるなんてことが、万が一にでもあるのなら。
かつて、ある人が私に注いでくれたように。
「何千人という出会いがあっても何も起きなかったのに、あなたに会って初めて感情が動いた。どうしようもなかった」
そう言ってくれたあのような熱い想いが、もし彼女の中にも芽生えてくれたなら。
彼女が私に対して「特別」を感じ、自分だけの「独占枠」を私に預けてくれる。
強くて、綺麗で、前向きで、それでいて面白さも兼ね備えている。
本当に素晴らしくて、多くの尊敬を集めながら進む彼女が、
世界中の誰にも見せない本当の顔を、私の前でだけ、ふっと緩めて見せてくれる。
私にだけ甘えてくれる。
そんな時間が持てたなら。
私は、今までの身に起きたすべての嫌なことも、
眠れないほど悲しかったことも、
逃げ出したくなるほど辛かったことも。
そのすべてが、今日という日のこの瞬間に繋がるための伏線だったんだと思える。
「このために、私はあの痛みを通り抜けてきたんだ」と、
過去のすべてが喜びに変わるだろうな。
そんな「もしも」を胸に、今日も私は、彼女に会える日を楽しみに、
目の前のことを、少しだけ背筋を伸ばして頑張ってみる。
今日も会えた。せっかく会えたのに、うまくできなかった。
飲みに行こうって話になった時、向こうが「3月か4月に」って言ってるのに、私は「忙しいだろうから落ち着いたら」って遮ってしまった。
向こうからしたら、行きたくないって思ってるみたいに見えたかな。
実際は全然違う。前も行こうって話になって、連絡を待ってた。来なかった。それが悲しかっただけで、もう期待したくないという気持ちの反動だったんだけど。
普通に話せばいいってわかってる。話題なんて溢れてるし、難しいことじゃないはずなのに。どうして彼女を前にするとこうなっちゃうんだろう。
普通にしようって思ってる時点で、もう普通じゃないんだよね、きっと。

