YAMAHA F-20 リバーブ増設の巻 | とれすけのブログ

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緊急事態宣言が続いています。

ワクチン接種が一般化して、安心して外出出来るようになるのは、もう少し先でしょうか。

気を緩めず、感染拡大を防止したいものです。

 

さて、前回の記事でも少し触れていましたが、取り組んでいたYAMAHAの小型ギターアンプ、F-20にリバーブを追加出来ましたので、一旦ご報告。

 

経緯からお話しすると、昨年、オークションで中古のF-20を購入したところからこの計画が始まります。

F-20というのは出力20Wの練習用ギターアンプで、かつてF-100、F-50というギターアンプの評判が良かったことから、後年になって発売されたモデルです。音の方は、F-100やF-50には及びませんが、ニュアンスは似ていて、Fender系とはまた違うコシのある音が出ます。

ABの2チャンネルあり、チャンネル共通の3トーンのEQ、Bチャンネルは2ボリュームと小型でありながら割とコントロールが充実したアンプなのですが、ただ一点残念なことはリバーブが付いていないという点です。

今はデジタルリバーブも安価に手に入る時代ですが、やはり最後のスプリングリバーブがあるとないとでは、音の自然さが違ってくるという気がしています。

なので、付いていて欲しかった、付いていたらパーフェクトだったなという思いでいました。

 

で、オークションで落札した段階では異音の出るジャンク品でした。なので、修理を行った訳です。

その際に分かったのは、なんと基板にリバーブ回路のプリントパターンがちゃんとあるということでした。もちろん、その部分にパーツはついていませんし、機能するかも未知数でしたが、正面パネルの裏側にはやはりリバーブ用のボリュームの下穴があったりと、せっかくリバーブ付きの設計で作ったのに、何かの事情で急遽オミットされたとしか思えない仕様でした。

その時、なんとかそのパターンを活かせないかなと、冒険心に火がついたのでした。

 

とはいうものの、その時はまだ知識もこなれてなく、心臓部になるであろうICもまったく不明で、取りつくシマもない状態でした。

その後、同シリーズでリバーブ付きのF-30というアンプも手に入れて、回路が参考になるかなとも思ったのですが、こちらはICの仕様が違っていて、あまり参考になりませんでした。

 

そうこうしているうちに前回ご紹介したF-50を入手して、その改造にあたって回路図とにらめっこしているうちに段々と形が見えて来ました。

特にF-50のリバーブ回路の出力バッファーの回路と、F-20の入力バッファーの回路などが参考になりました。

F-20のパターンは、解析してみるとリバーブ駆動用のアンプと出力バッファーを一つのICでまかなっています。8ピンのICはデュアルタイプのオペアンプ、4558でOKだろうということになると、あとは抵抗、コンデンサーの値を決めるだけです。

とはいうものの、抵抗は11個、コンデンサーは8個、それとボリュームがひとつと、適当という訳にはいきません。

とりあえず第一回目のチャレンジは、F-20のバッファーの回路を参考に、Web上の回路シミュレーターを使ったりして、一応の動作確認をしたり、にわか勉強でオペアンプの本を読んだりして定数を決め、あとは手持ちのパーツを考慮して組んでみました。

 

元々のプリントパターンはハンダで埋められているので、まずハンダ吸い取り線を使ってハンダを取り除きます。

そこへ揃えた部品をハンダ付け。ここは楽しい作業です。

ちょっと大変なのは正面パネルにリバーブ用のボリュームの穴を開けるところくらいでしょうか。これも表面の化粧パネルは穴なしですが、下地の鉄製のケースには穴が空いていたので、比較的楽に出来ました。但し、これは失敗した場合に、無駄な穴があいてしまうという結果につながるので、躊躇しなかったと言えば、正直ウソになります。引き返せない一点ですね。

肝心のリバーブユニットは、とりあえずF-30のものを取り外して繋げてみました。

 

さて、テストしてみると、残念ながらリバーブの残響音は響きませんでした。

ただ、変なノイズもなく、しかもアンプ本体を揺らすと、かすかにリバーブの残響音が聞こえます。

どうもリバーブユニットをうまく駆動できていないようです。

オペアンプのゲイン不足か、信号がアースに逃げているか、いずれにしてもここで一旦頓挫しました。

 

その後、エフェクターを作ったり、F-50の改造をやったりと、この間経験と知識の上積みもあり、また、4558を使ったリバーブ回路の参考例を見つけたりして、再び抵抗とコンデンサーの定数を大幅に見直して、必要な部品を発注、組み上げました。

 

第2回目のチャレンジは見事に成功、リバーブのボリュームを上げると、残響音がきれいに付加されていきます。

ただ、ちょっとドライブ回路のゲインがたかすぎるのか、Mix点の抵抗値がアンマッチなのか、リバーブのボリュームの位置が3くらいで十分な音量が出ます。

 

ただ、少しノイズが乗るので、何度か定数変更にチャレンジ。手持ちの部品の兼ね合いもあって、なかなかうまくいきませんでしたが、F-30のリバーブユニットからこのF-20用に調達したホクセイのリバーブユニットに替えていい感じになってきました。

インピーダンスの問題だったようで、この辺は知識も乏しく、偶然許容範囲だっただけな気もしますが、ゲインを決める抵抗を調整しなおして一旦完成としました。

最終的にはやや抑えめの設定になっています。目盛りが4くらいでかかってる感じになり10ではちょっと多いかなという程度です。キャビネットの大きさの関係から小型のリバーブユニットしか入れられないので、豊かな残響音というのは元々無理な相談なので、あくまで自然に聞こえるような残響付加を前提にしています。その点では大成功と言えると思います。

まだ少し見直し点はあるかと思いますが、まずは活きていなかったプリントパターンがちゃんと機能したこと、させられたことが喜びですね。

 

これでF-20が実用的な練習用小型アンプになりました。

つまみだけがちょっと違和感ありますが、目盛りラベルも貼ってなかなか本格的です。

他に、扱いづらいBチャンネルの歪みをクリップダイオードをLED+抵抗とツェナーダイオードの組み合わせにしてみたり、こちらは試行錯誤を続けています。