以前お伝えした通り、我がMacは少し新しくなって、OSは最新版になっている。おかげでエフェクターのエディターなどは使えるようになった。しかし、こういう時に必ず発生するのが使えなくなるアプリケーションの問題である。
68KからMacを使っている身としては、またかという気がしないでもないが、もうそんなに一杯アプリを使うということでもないので、被害はそう多くはない。今回かなり間隔をあけてのアップデートな割には被害が少ないかもしれない。むしろ、新しいiアプリや新しいMacの使い心地、CPUの刷新でスムーズに見られる動画などの恩恵の方がはるかに大きい。ただ、過去の記録やデータが見られなくなるのが一番の悩みで、何回か取り上げているJournlerというジャーナリングソフトが使えなくなったのが一番の問題であった。
必要な時にはお役御免のMacBookを引っ張り出していたのだが、キーボードの不具合もあり、さらに新Macの使い心地からの違和感も大きく、早々に対策が必要であった。Journlerのサイトもマメに見ているが、対応の気配はなく、代替えのソフトの検討もしていた。ただ、データが引っ越せる確信もなく、悶々としていたのだが、ふと仮想環境にMacOSが載せられないかと思いついた。早速調べてみると、なんとVirtualBoxでゲストOSにMacOSが入れられることがわかった。
VirtualBoxは以前にも使ったことがあって、その時はMacの上にWindowsとUbuntsを入れたりしていた。パフォーマンスの問題もあり、結局あまり使わなくなっていたのだが、今回は少なくとも過去の遺産が利用できればいいので、うまくいけば利用価値は高いと思った。
最新版をダウンロードし、インストール。仮想ディスクを作成してMacOS10.6のインストールディスクからOSをインストール。
これもうまくいって、無事に起動まで漕ぎ付けたのだが、後日起動しようとするとうまく起動しない。仮想ディスクは大丈夫そうなので、VirtualBoxを再度インストール。これで安定した。
さて、使い勝手なのだが、問題がいくつか発生した。
一つはスクリーンサイズと解像度。標準では1024x768になっていて、フルスクリーンモードにすれば、解像度的には良くなるのだが、新Macの1280x800のうちの1024x768なので如何せん画面が小さい。
この解像度の変更がなかなか分からず、あれこれやっていたが、
見つけた情報によれば、これはVirtualVoxのマニュアルにもあるのだが、ホスト側のMacのターミナルで
VBoxManage setextradata "XXXXXX" VBoxInternal2/EfiGopMode 3
と打つ。
ダブルクォートで囲っているのが仮想マシン名で、末尾の3が1280x1024、元々は2の1024x768。
これだと横幅はいい感じだけれどアスペクト比が合わないので、その分は下方に画面が伸びた形になる。スクロールできないので少々使い勝手が悪い。VirtualBox上の設定とか、環境設定とかのディスプレイの設定は全く関係がないようだ。また、仮想マシン側のMacの環境設定でも、ディスプレイ解像度は1つだけしか表示されず、1280x1024以外は選択できない。いろいろ探ったのだが、WindowsとかならExtentionPackを入れればいろいろと解消できるようだが、Macがゲストの場合は対応ができないようだ。
さらに問題がもう一つ。どうもマウスのキャプチャがうまくできないようで、マウスポインタが2つ表示されてしまう。これは非常に使い勝手が悪く、ちょっと我慢できない。
しかしながら、解消法は見つけられなかった。
ここで奇策を思いつく。Macでは標準機能になっている画面共有。これで接続できないかと。
ゲスト側のネットワークの構成はNATにしてあり、これで、ホスト側のLANにつながりインターネットに接続できる。
ちなみのこの場合のゲスト側のIPアドレスは10.0に始まるプライベートネットワークアドレスがDHCPで割り当てられている。
で、ホスト側の画面共有でターゲットにこのアドレスを指定してもこのままでは当然接続できない。
NATでもやり方はあるのかもしれないが、ここはVirtualBoxの設定で、ネットワークアダプタをもう一つ有効にする。
その前段階で、環境設定のメニューのネットワークでホストオンリーアダプタを作成しておく。IPアドレスを指定し(このアドレスをどこで取得したかは忘れた)DHCPサーバを有効にしておく。再び設定の方に戻ってアダプタ2の割当をホストオンリーアダプタにし、環境設定で作ったやつを指定する。
仮想マシンを起動したら、今度はゲスト側のMacの環境設定のネットワークで、Ethernetの接続を追加する。DHCPでIPアドレスが振られれば成功。このアドレスに向かって、ホスト側から画面共有で接続すれば繋がる。
多少もたつきはあるが、これでマウスの問題は解消。さらに、画面共有からだとディスプレイもスクロールできる。また、キーボードの使い勝手もこっちの方がちゃんと対応するし、マルチタップのトラックパッドも使えていい感じだ。
接続のショートカットを作っておけばすぐ繋がるし、テキストは
クリップボードで送受信できるし、しかもドラッグ&ドロップできる!
製品版のAppleRemoteDesktopを買えば、写真やファイルもできるらしいけれど、今はそこまでは求めない。ここまでできるようになっただけで上等である。
ちなみに、VirtualBoxにもそもそもリモートディスプレイという機能があり、MacでもMicrosoft Remote Desktopというアプリで接続できる。試してみたが、キーボードの対応などやはり画面共有に軍配が上がる。
VirtualBoxに画面共有まで使うと、ホスト側のリソースを食うので、若干遅くなるという気はするが、あとはどうバランスを取るか。VirtualBoxのシステム設定で調整できるが、プロセッサに関しては2つまで使えるような表示があっても、2つにすると起動プロセスで止まってしまう。インストール時に2つにしておかなければだめなような感じだ。そもそもだめなのかもしれない。
これで目的のJournlerは普通に使えるようになった。画面共有下でもテキスト入力程度ならそうストレスは感じない。動画などはVirtualBox上でもカクカクなのでそもそも期待はしてはいけないが、OS10.12で使えなくなったアプリもこれで幾らかは復帰できる。補助的な使い方にはなると思うが、データが引き続き使えるインパクトは大きい。一つの手としては十分にありだ。
追記:
以前言及したMagicStompのエディターになるJSynthLibだが、xattr -rcコマンドで拡張属性を消すことで、アプリのまま起動できるようになった。こちらの情報にて。
色々探していての副産物であった。

