広い店が良い訳ではない | 猫好きのブログ

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資格試験とその応用

  郊外店だと駐車場の広い店が望まれる。とは言え、広ければよいわけではない。

 

  駐車場が広すぎると店の出入口までの歩行距離が伸びたり、駐車した場所が分からなくなって車を探し回ったり。更に駐車場が店のキャパを超えると客が店に溜まり、買い物しずらくなる。このような不満が累積すると、競合店が出店した途端、客が激減し、やがては閉店へと向かう。

 

 適正駐車台数は業種、立地毎に異なるので、最適数が決まっている訳でないことに注意しよう。昔の本を見ると駐車場1台当たりの売上という言葉が出てくる。例えば1台700万円だと100台で年商7億円となる。こういう方法が成り立ったのは競合が少なかったであろう。客がどんどんやって来るから底引き網は大きい程、魚が入ってくれる。

 

 今の時代は、投資効率で見る必要がある。例え年商が大きくても土地取得費、地代が増加すると利益や投下資本利益率が低下することになる。

 

 

 次に店の広さにについて。売場面積も駐車場の話と同じだ。ただこちらは過大スペースだと費用負担が非常に大きくなりやすい。

 

 ある過疎地の国道に大型ロードサイド店があったが、バイパスの開通で交通量が激減した。売れ行きが落ちたため、店の半分を貸すことに決めたが、借主が出てこなかった。最終的に閉店して土地建物を売りに出したが、買い手もなし。

 

 使わないスペースであっても冷暖房費、修繕費、固定資産税、損害保険料は発生しているのだ。従って半分のスペースの建物で営業するよりも利益が小さくなる。例え格安で貸してもだ。

 

 小さな町だと商業集積が二つできると、片方は大抵ダメになる。需要そのものが小さいので両立できないからだ。この店の命運はバイパスが出来た時に決まっていたと言えよう。

 

 不動産評価で収益還元法を機械的に当てはめると、現実離れした価格になるのはそういう分析がされていないからだ。今の時代、商機があれば参入者があるはずなのに誰も来たがらないということは、商売不適格地(物件)だということになる。

 

 幾ら相場があっても無意味な数値である。無知な人(脱サラ者とか)が不動産屋におだてられて契約することもあるが、長くは続かない。客を他所から奪えばいいだろうが、ま、素人同然の商売人には無理だろう。大抵の人は経済の制約条件を簡単には突破できない。

 

 相場は坪5000円だからではなく、ここで成立するのはどういう業種なのか、面積はどれぐらい必要なのか、将来の競合の可能性はどうなのかを把握した上で、賃料を決めるべきだ。安定した不特定多数の需要のない場所では、例え隣同士でも賃料は違っても不思議ではない。

 

 成立業種が少なければ、需給関係で大家が不利になるので、適正賃料よりも更に低くなるだろう。隣が坪5000円でも半分になるかもしれない。最終的にはマーケットで決まるので仕方がないことだ。