買うと家賃が掛からないし、資産は自分の物になるからという人がいる。
実際どうだろうか?おおまかに計算してみよう。
家賃を10円(但し保証金10円が別途必要)、不動産を100円とする。
不動産を購入する時は普通ローンなので、購入金額の7割を金利2%で借りると
金利=100×0.7×0.02=1.4円が掛かる。
他に経常運営費(減価償却費を除く)が毎年掛かる。平均して家賃の25%ぐらいか。
家賃10円×経費率0.25=2.5円。
減価償却費は経常運営費と同額ぐらい。2.5円。
他に臨時の修繕費が掛かる。1年平均に均すと経常運営費(減価償却費を除く)と同額ぐらい。2.5円。
合計すると
金利1.4+経常運営費(減価償却費を除く)2.5+減価償却費2.5+臨時修繕費2.5=8.9円
他方、賃貸を見て見よう
・家賃 10円
・保証金の金利=10円×2%=0.02円
計 10.02円。
こうしてみると物件を購入した方が、毎年のコストが賃貸よりも掛かってますね。表面上は現金支出を伴う経費は毎年2.5円と家賃の1/4なのだが、5年、10年、20年毎にやってくる特別修繕費や建物の減価償却費が必要になるので、実質的には高いのだ。
それに借金で貸借対照表が膨らむため、自己資本比率が低下すること、投下資本利益率が低下するマイナス面もある。
では何故、昔は不動産を買って商売する人が多かったか?
それは持つだけで含み益がどんどん増えたことがあるはずだ。商売の利益の他に不動産の保有益も得られる。時価が高くなるから、運転資金や投資のための融資も受けやすい。
再び、地価が上昇トレンドに入ると、購入者が増加し、それが上昇を加速することになるだろう。とはいえ、日本全体のパイが大きくなることはないだろうから、地価上昇は一部の地域に留まるであろう。
ついでにもう一つ。立地が変化しないことが取得の前提となる。一等地の地位が変わらないと、早めに購入し、そこに居続けた方が他店との差別化になるからだ。
立地や市場トレンドが変化しやすいと、賃貸にして早期に撤退できるようにした方が環境に適応しやすい。