建築コストを坪50万円×500坪=2.5億円とする(耐用年数は40年)
修繕費は毎年掛かるものと、特定の時期に掛かるものがあるので、別々に計上する。
長期修繕費を計算する場合、修繕引当金繰り入れの形で毎期に経費化する。
①毎年掛かる修繕費(建築費の0.2%)=50万円
②5年に1回掛かる修繕費(建築費の1%)=250万円→年平均50万円
③10年に1回掛かる修繕費(建築費の3%)=750万円→年平均75万円
④20年に1回掛かる修繕費(建築費の6%)=1500万円→年平均75万円
築1~5年・・・①のみ 年50万円(建築コストの0.2%)
築6~10年・・・①+②=年100万円(建築コストの0.4%)
築11~20年・・・①+②+③=175万円(建築コストの0.7%)
築21~40年・・・①+②+③+④=250万円(建築コストの1.0%)
建物が古くなると賃料が低下する一方で、修繕費は増加することになる。
土地2.5億円、建物2.5億円、総投資額5億円、初年度粗投資利回りを8%とすると、家賃は4000万円。家賃は5年毎に新築時の5ポイントずつ下がるとする。
家賃収入に占める各年修繕費の比率は次の通り
築1~5年・・・年50万円/家賃4000万円=1.3%
築6~10年・・・年100万円/(家賃4000万円×0.95)=2.6%
築11~15年・・・年175万円/(家賃4000万円×0.90)=4.9%
築16~20年・・・年175万円/(家賃4000万円×0.85)=5.1%
築21~25年・・・年250万円/(家賃4000万円×0.80)=7.8%
築26~30年・・・年250万円/(家賃4000万円×0.75)=8.3%
築31~35年・・・年250万円/(家賃4000万円×0.70)=8.9%
築36~40年・・・年250万円/(家賃4000万円×0.65)=9.6%
維持修繕のみだと家賃収入がどんどん減る一方で、修繕費は逆に高くなるので、収入に占める修繕費率は1.3%から9.6%へと大きく上昇することが分かる。
単純化のため、その他経費(管理費、募集費、退去時クリーニング費用、火災保険料、保有税)を一定としよう。これらは変動費と固定費に分けられるが、稼働率に関係なく、状態維持のために必要な固定費の割合が高いため、全期間を通じ年間700万円とする。なお、この計算では減価償却費を計上していない。
家賃収入に占める各年経費の比率(修繕費+その他経費)
築1~5年・・・年(50+700)万円/家賃4000万円=19%
築6~10年・・・年(100+700)万円/(家賃4000万円×0.95)=21%
築11~15年・・・年(175+700)万円/(家賃4000万円×0.90)=24%
築16~20年・・・年(175+700)万円/(家賃4000万円×0.85)=26%
築21~25年・・・年(250+700)万円/(家賃4000万円×0.80)=30%
築26~30年・・・年(250+700)万円/(家賃4000万円×0.75)=32%
築31~35年・・・年(250+700)万円/(家賃4000万円×0.70)=34%
築36~40年・・・年(250+700)万円/(家賃4000万円×0.65)=37%
築21年目以降経費率が大きく上がることが分かる。もしあまりにも収益性が低くなると建て替えるか取り壊して更地売却することになるので、収支シミュレーションにより、耐用年数が決まる(ここでは40年と固定している)。
全期間で収支を見て見よう
総収益=4000万円(1+0.95+0.9+0.85+0.80+0.75+0.7+0.65)×5=13.20億円
総費用=50*5+100*5+175*10+250*20+700*40=3.55億円
減価償却・税引前利益=13.20-3.55=9.65億円(
減価償却費=2.50億円
減価償却後税引前利益=9.65-2.50=7.15億円
1年当たりの利益率=7.15/40年/5.00=3.6%