事業用収益還元法の対象となる不動産 | 猫好きのブログ

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資格試験とその応用

 事業用収益還元法は事業の売上高から家賃相当額を求める手法である。まずは事業の種類を特定しなければならない。従って貸事務所や店舗ビルのような汎用的な用途には適さない。

 

 なお特定事業用といっても一用途のみは稀であり、多少改装すれば数種類の用途に使える物件は少なくない。また特定事業用と汎用物件との間に半汎用物件もあるので、応用も可能だ。

 

 

 特定事業用物件の実例を挙げてみよう

 シネコン、温浴施設、遊戯施設(パチンコ店、ボーリング場)、ガソリンスタンド、ショッピングセンター、テーマパーク・遊園地、宿泊施設、運動施設(ジム、プール、ゴルフ練習場)、ゴルフ場、会館(結婚式場、葬儀場、宴会場)、太陽光発電所、庭園、市場、トラックターミナル

 

 思いつくままに書いたが、結構ある。収益目的で売上高を想定できれば、何にでも適用できる(公共施設でも公設民営を想定すれば適用可能かもしれない)。

 

 ただ具体的にとなるとハードルが高いのも事実だ。例えばガソリンスタンドの場合、一般的な小売業のように、商圏内消費額×地域シェアというように計算できない。何故なら場所によっては地域外から流入する自動車が多いからだ(郊外の幹線沿い等)。この場合、交通量などから推定するしかないだろう。

 

 別の例だとマニアックな利用者の多い施設だ。これは商圏内吸引力というよりも、店と客との個別的な結びつきの方が強く、興味のない人は近くに住んでいても来てくれないし、マニアなら他県からでもやって来る。従って利用者の分析を行わないと売上は分からない。そもそも固定客は不動産価値よりものれん価値の一部であろう。

 

 次に半汎用物件である。こちらは汎用ほどの多用途性はないものの、特定事業用ほど限定されないものである。例えば

 

 運送業の営業所(トラック、タクシー、バス)、建設業・土木業の事業所(重機置き場、作業所、資材倉庫など)、物流センター、冷凍施設、業種が限定される工場等。

 

 トラックの営業所を例に挙げよう。トラック事業の収益性と不動産価値とは必ずしも一致する訳ではないが、事業の収益性を越えた不動産の価格や家賃だと企業は平均的な利益を上げられないので、手を出しにくい。だから事業収益還元法でチエックする必要がある。

 

 小売業のように立地と紐づけて売上を求めることができないものの、トラック台数や従業員数等から平均的な売上を推計することは可能である。

 

 ただその方法だと例えば同一台数のトラックを使う施設の売上高は全て同じになるため、何らかの修正が必要となる。やはりICに近いとか、配送先等の関係で不動産価値に差が出るだろうから、業種に応じた立地条件を分析する必要がある。

 

 業種によっては従業員の確保(通勤しやすさ)、調達先や消費地との距離、公害発生の可能性、車両の出入り等、色々な条件があるだろう。

 

 同じ商品を売っている同一チエーンのコンビニですら日商100万円以上から20万円以下まで大きな差があることから、平均値をそのまま使うのは危険である。