商業地の最有効使用 続編 | 猫好きのブログ

猫好きのブログ

資格試験とその応用

 商業地の評価に当たっては最有効使用の店舗、事務所等を賃貸することを想定した収益還元法が用いられる。

 

 この方法だと賃料の相場(坪単価)が分かれば容易に計算することが出来るのだが、個別の物件となると間違いを犯しやすい。

 

 例えば地方中都市の中心商店街に面する大規模地を考えてみよう。

 

 この広い土地を2階建の商店か路面駐車場にしておくのはもったいない。そこで高層の店舗ビルを建てることを計画する。

 

 地方都市だってパルコやラフォーレのような有名ファッションビルが建っているし、地場資本のビルだってある。

 

 問題は事業が成立する条件を満たすかだ。 あのパルコですら閉店する時代なのだ。郊外のイオンモールには専門店が建ち並び、駐車料金を気にせず何時間でもいられるのだ。街中の商業施設にも駐車場はあるが、時間制限や買い物金額制限があるため、やはり郊外に比べると不利だ。

 

 このようなことを考えると業態の範囲をある程度絞り込んだ上で建物の大きさを想定しないと現実離れすることになる。

 

 難しいのは出店は立地のみで決まることはなく、物流体制、仕入先との関係、マネジメントシステム、経験に基づくノウハウ、雇用、施設の運営管理能力など複雑な要因があるため、潜在的な需要があっても大手企業の出店が難しいことある。

 

 テナントビルとなるとある程度の数のテナントを集める必要があるが、これまた難しい。キーテナント予定企業が出店を渋ると、他の全国チエーン企業は恐れをなして出店したがらない訳で、地元テナントだけでとても埋めることはできず、しかも店舗の質が低く、コンセプトも区々になりやすい。

 

 埋めるために片っ端から入れると後でつけが回るのだ。当然、集客力は低く、予想売上が上がらないとテナントは次々と抜けて悪循環、そして最後は全館閉店になってしまう。

 

 少なくても有力テナントが来ないということは、潜在的な需要が少ないか、郊外のショッピングセンターに対抗できないかのどちらかであるから、棲み分け可能な業種を想定する必要がある。例えば高齢者マンション、クリニックと一体化した商業施設とか。