死体を山に遺棄するのはよくあるパータンだ。
だが実行するとなると簡単ではない。人里離れた山中と言っても、遺体を車から降ろし、遠くまで運ばなければならない。倒れた人間1人運ぶのは大変だ。4人で運んだとしても1人当たり15~18キログラムあるし、道路から起伏のある山の中を歩かなければならない。
更に遺体を深く埋める作業がある。浅いと動物に掘り起こされて発見されてしまう。警察は行く不明者のリストと遺体のDNA鑑定の結果から、本人を特定し容疑者を絞り込むだろう。だから深い穴を掘る必要があるが、土起こしをしていない山中で穴を掘ることは大変だろう。
ましては遺体が二人分もあるのだ。この作業を2人でやること自体明らかに無理がある。だから20歳の若者二人は道路の近くに遺体を置き、燃やせばいいと思ったのであろう。ガソリンを事前に用意していたことから、最初から穴を掘って埋めることを考えず、燃やすことで本人を特定させない意図があったことは明白だ。
だが、人体の7割は水分だから簡単に燃えない。火災の時とは違うのだ。だから二人は途中で作業を放棄したのだろう。
ところで奥さんの方の損傷が激しかった理由が何となく見えてきた。店の間のトラブルで事実上取り仕切っていた奥さんへの恨みという意見があったが、恨んでいたのは同業店ではなく、こき使われていた娘の内縁の夫だったのかもしれない。
僕は若者二人で夫婦を襲ったのは無理だろうと思っていた。相手は必死で抵抗するため、例え武器を使ったとしても4人はいないと押さえつけることはできない。
その後、娘の内縁の夫と(物件を案内したと思われる)不動産業者が逮捕されたことから、この二人も殺害に加わったと考えると辻褄が合う(平山容疑者も加わったかもしれない)。そして若者二人に遺体を運ばせた。
最後に残ったのは仲介役の平山容疑者の取り分の大きさだ。彼は車と実行犯の用意だけで900万円も手にしている。このことは別に犯人がいることを暗示しているのではないのか?つまり平山容疑者は900万から何百万円かを別人に渡して犯行の手伝いをさせたのではないかということだ。