恒星間通信の話 | 猫好きのブログ

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資格試験とその応用

 SF映画等を見ると、宇宙戦艦の艦長らしき人が巨大モニターに映る人物と会話していることがある。

 

 どうやら何百光年も先にある母星の司令官に報告しているようだ。距離の遠さを表現するためか、モニターが時々通信障害で乱れたりする。心憎い演出だ。

 

 超恒星間通信とのことだが、実際、こんなことは可能か?

 

 物理の理論では光よりも速く移動することは出来ない。何故なら光の99.999%の速度になると無限大のエネルギーが必要になるからだ。だから超恒星間通信はワープと同じく、SFの創造物に過ぎない訳だ。

 

 火星から地球に「こんにちわ」とメール送信すると受信に20分掛かる。地球側がこんにちわと返すと、発信した火星に応答があるのは40分後だ。効率を考えて一度に長い文章をお互いに送り合うことになるだろうが、非常に手間が掛かる。

 

 お隣の惑星でもそうなのだから、恒星間宇宙船となると更に大変だ。2016年の映画「パッセンジャー」では冷凍睡眠装置の故障で1人目覚めてしまった客が地球の船会社にメールで指示を仰ぐシーンがある。乗務員や他の乗客は皆、冷凍睡眠中なので目的地に近づかないと目覚めない。

 

  コンピューターにメールが地球に届くのは55年後と言われ主人公はショックを受ける。目的の惑星に到着するのは90年後。主人公はその間、宇宙船で1人で行き、誰も知らない内に寿命を迎えることになるからだ。

 

 これが恒星間通信の難しさだ。どんなに科学が発達しても物理法則の制約を乗り越えることができない。

 

 恐らく未来には宇宙植民地が出来るだろうが、地球と没交渉になり、別々の道を行くことになるだろう。

 

 このように書くと悲観的だが、無人観測機を複数の近隣星系に送り、そこで同じ観測機を組み立て、周辺の星系に送り、これを延々と続けると、僅か10万年で銀河系全域の植民が可能だそうだ。

 

 まるでウイルスが人に取り付くと、全身にコピーが周り、今度は空気感染で他の人に這い込み、国全体で大流行する現象に似ている。人間は宇宙レベルではウイルスのような存在だ。