アウトレットモールの鑑定評価 続編 | 猫好きのブログ

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 アウトレットモールは全国に40施設近くあると言われるが、はっきりしない。何をもってアウトレットモールとするかにより範囲が変わるからだ。

 

 医療施設や福祉施設のように法に基づいて設置されるものではないため、例えば服の安売り屋がアウトレット店、中古家電がアウトレットセンターと自称することがよくある。

 

 ショッピングセンターであってもパワーセンターなのか、アウトレットモールなのか、複合商業施設なのか判然としないことが多い。

 

 それはさておき、アウトレットモールは本来、ブランド品のアウトレット店(ファクトリー系、リテイル系)を中心に長時間滞在のための飲食店(フードコート、レストラン、カフェ)、雑貨店等を集積させたものである。

 

 ところが意外と食品スーパーがテナントに入っていたりする。これではまるでイオンモールではないか?

 

  アウトレットモールの商圏は広く、人口100万人以上ないと成立しないと言われている。日本の場合は、大都市周辺の市街地に立地していることもあり、近隣住民の数が多い。

 

 食品スーパーはこれに着目したのであろう。遠方から来る人は来店頻度が低く、しかも土日利用が多い為、施設の平日と土日の客数のギャップが大きくなる。そこで平日の利用頻度を上げるために近くに住む住民を吸引しようと、スーパーをテナントに入れるのであろう。

 

 理由は分からなくもないのだが、21世紀になっても20世紀型ショッピングセンター文化が続いている印象を受ける。

 

 デパートを見るとよく分かる。1階にハイブランド用品が売られているのにエスカレーターで地下に降りると、急に賑わいを見せ、銘菓の他、スーパーと同じような食品売場がある。文献で調べると100年前にはデパートにそのような売場があったことが分かった。つまり食い物で集客するというのが日本の文化というわけだ。

 

 その点、アメリカでは非日常消費と日常消費がはっきり分かれている。非日常消費をした後に晩御飯の食材を買っていくニーズはアメリカにもあるが、同じ建物に食品スーパーを入れない。

 

 昔はアメリカもデパートと食品スーパーが同居していたようだが、時代と共に分離された。購買動機が異なる為、非合理的だったからだ。

 

 だが日本ではターミナルデパートだけでなく、日本橋、銀座のような都心型デパートでも食品売場を目当てにやって来る人は多い。恐らくアウトレットモールにもそういう文化が続いているのであろう。

 

 但しどこの場所でも成立する訳ではないことに注意しよう。売り場構成は地域の消費者のニーズと合致していないとならないので、消費者の質と量が異なれば、モールのテナント構成、品物揃えも当然、違ってくる。

 

 不動産鑑定は敷地、立地に着目することが多いが、テナント構成、販促、接客等の要素とのバランスが悪いと好立地でも売上が上がりにくい。また競合状況でもポジショニングが変わるため、対象物件だけ見ても分からない。

 

 それを表わしているのが経営診断でいう3C分析(自社、競合、顧客分析)だ。