建設業経理士試験1級は難しいか? | 猫好きのブログ

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資格試験とその応用

 建設業経理士試験1級の合格率は25%なので、平均的な1級検定の合格率よりも高い。

 

 ただ3科目の科目合格率であることを忘れてはならない。科目合格制の長所として、少しずつ合格していくことで特定の科目に専念しやすいが、苦手科目を克服できない限り、資格者になることが難しいという短所がある。

 

 今年の1月から学習を始めて(それも1級のストレート受験)、少しずつ敵の正体が分かってきた。まず合格最低ラインが「7割が標準」ということだ。7割だと絶対評価になるため、その回の難易度によって合格率が乱高下しやすい。しかし標準とつくと、難易度調整が入るということだ。つまり難易度が高すぎると合格最低点を下げる措置が取られるため、相対試験ということだ。

 

 では実際の合格率はどうなってるだろうか。

・財務諸表・・・ 過去5回平均合格率28.0%(上限37.1%、下限21.5%)。上下の差が結構大きい。ただ5回の内、3回は27%前後に集まっている。

 

・原価計算・・・過去5回平均合格率25.9%(上限29.7%、下限21.4%)。比較的上下の差が小さい。

 

・財務分析・・・過去5回平均合格率33.9%(上限49.4%、下限23.2%)。上下の差が大きい。特に4割台が2回ある。

 

 3科目同時受験して合格する率は0.280×0.259×0.339=2.5%とかなり小さい。率だけ見ると超難関だ。だが連乗は各科目試験が無相関(独立)であることを前提としているため、小さくなってしまう。現実にはある科目の高(低)学力者は他の科目でも高(低)学力者であることが多く、相関性が高いものである。従って直感的になるが、ストレート合格は8~10%ぐらいだろう。

 

 実際は科目を絞って学習し、少しずつ取っていく人が多いらしい。これだと高学力グループに入っていなくても、時間を掛けて合格可能なので、最終的に1級に合格する人の割合は2割以上いるかもしれない。

 

 自分は原価計算科目の過去問しかやっていないのだが、感想を書いてみよう。

 

・大問5題を90分で解答するため、かなりの計算スピードが必要。

・オーソドックスな問題が多い。このような問題が出題された場合は、満点に近い点数を取る必要がある。

・200字以内の論述問題が2問出題される(計400字)。これは短時間で要点を文章にまとめる力が要求され、現実に出来ない人が多いようだ。

・合格者は初見問題でも8割得点できる実力を持っている。なお、問題は標準レベルのものが多いので、合格者のレベルはかなり高い。

・途中計算において割り切れない数字が出ることがよくあり、電卓計算力がない人は不安に感じるようになっている。

・一部のわずかのミスで途中にある複数の採点部分も連動してミスするようになっており、実力者でも本番で失敗するリスクがある。

 

 以上より、各科目をかなりやり込まないと合格は厳しいと考えられる。しかし他の1級検定だって合格率5~10%のものが複数あるし、合格率が2割前後でも、会計士、税理士、日商簿記のような会計専門家が一定割合いる検定もあるので、建設業経理士のみが特別難しいわけではない。他の検定でも1級だけは意図的に難しくしようという意図を感じる。