4月からの新番組なんですね。
NHK総合テレビの「時をかけるテレビ」
今にこだわる新アーカイブ番組。これまでNHKが放送してきた番組の中から選(え)りすぐりの1本を紹介し、ナビゲーターの池上彰さんと毎回の魅力的なゲストが、番組のテーマやメッセージの現代的な意味を語り合います。
(後略)
昨日、安いワインなど飲んで寝てしまい、ふと目が覚めたらこの番組が始まる時間だった。
これは観ろということでしょうと観てみました。
興味ある話題でしたし。
「世界の科学者は予見する 核戦争後の地球」
4/5(金) 午後10:30-午後11:30
配信期限 :4/12(金) 午後11:27 まで
紹介するのは、1984年放送されたNHK特集。放送当時、米ソ両国が保有する核兵器は約5万発。広島型原爆の150万倍に相当した。そのうちの1万発・5000メガトンが全面核戦争に使用されたら、人類と地球はどんな運命となるのか?詳細なデータをもとにシミュレーションした番組は大きな反響を呼んだ。そして今。東西冷戦は終ったが、現代の核の危機はどうなってるのか?長崎市出身のさだまさしさんをゲストに迎える。
1984年放映、NHKが呼びかけて各国との協力で作った番組だそうです。
こんな感想も何ですが、1984年当時の映像って既にけっこうクオリティーが高かったんだな~なんて思ってしまいました。
東京、ニューヨーク、パリ(も入ってたと思うけど)、ロンドン、モスクワなどが破壊される様子や、石油備蓄基地の爆発、森林などの大規模火災など。
これは本物の映像ですが→米ソの科学者がそれぞれシミュレーションした結果をアメリカの議会?で英語で発表していたのが興味深かった。
ソ連の科学者たちと並んで座っているのはカール・セーガンでは? と思ったらやっぱりそうでした。
カール・セーガン博士でした。
核の冬というと、なんとなく核爆発そのものの塵や煙を思い浮かべていましたが、石油や液化天然ガスの備蓄基地などの誘爆も考えないといけないんですね。
もちろん街の火災はあるし、森林も燃えてしまうし・・・・なるほどなあ。
都市部の高層ビルは大量のガラスの破片を生む。
東京上空で核爆弾が爆発したら、とか、地下シェルターに避難した場合の米国のマニュアルとかいうのを見てると「終わってるな」と何度も思いました。
自分としては、この場合は即死のほうがいいな。
地球全体への影響は、オゾン層が破壊されて紫外線が降り注ぐ&逆に地表近くにオゾン層ができてそれは有毒ガス、なんて話もあり。
太陽が雲に遮られて、昼間も満月の明るさ。
気温はサウジアラビアのリヤドも氷点下の世界になってしまうし、どこも寒い。
当時のコンピュータシミュレーションで地球全体への雲の広がりをやっていて、北半球で核戦争があると南半球までだんだん広がるんですな。
ちょっと違うんですが、SF小説「渚にて」を思い出した。
葉っぱが凍るし農作物もとれなくなるし。
そういう時期が何カ月か続くという科学者もいれば、3年続くという科学者もいるし。
他には、各国が地上で原爆実験をバカスカやってた頃の米国のネバダ沙漠の様子も。
羊などの家畜を実験に使ったのは知ってたけど、子豚なのか小型の豚なのか(子豚かな)、豚たちも受難だったんですね。
本当に気の毒だ。
そして、離れているんだろうけど、サングラスして見物はダメだよな(ご婦人もいた)。
もっと危ないのはサングラスかけて塹壕に隠れて、核爆弾が爆発したあとのキノコ雲に向かって歩いて行く米兵たち。有名な映像ですが、あの人たちは後のアトミック・ソルジャーですよね。
ビキニ諸島の水爆実験のことも登場しました。
第五福竜丸もチラッと。
(あの船体を見たことあります。木造船で遠洋漁業に行ってたんだなあ。東京・新木場駅近くの夢の島公園内で展示されています。入場無料)
ウィキペディアで「核の冬」を見ると、当初(1983年頃でしょうか)のシミュレーションは見積りが過大だと言っています。
以下抜粋。
<最初に提唱された当時は、・・・(中略)・・・人間が生存できないほどの地球環境の悪化を招くとされていた。しかし、後の様々な研究やシミュレーションにより当初の過大性が指摘されて、提唱者本人も誤りを認めている。>
<しかし、放射能を帯びた死の灰が降り注ぐことによる催畸性の問題、大規模核戦争への恐怖心や核廃絶というイデオロギーもあり、核兵器の危険性を説明するうえで、たびたび過大に見積もられた最初のシミュレーションが検証なく引用されている。>
1984年の番組だとその「最初に提唱された」かもしれません。
でもソ連の科学者が言っていた「核兵器を凍結しなければ、地球が凍結する」という発言は本当にそういう「危機感」だったんじゃないかな。冷戦時代でしたから。
最近もアメリカのラトガース大学などのチームが核戦争の影響を計算してみたようですね。2022年。
「研究チームはインド・パキスタン間の5つの核戦争シナリオと米ロ間の核戦争シナリオ」から分析。
もっと長い記事ですが終わり近くを抜粋すると、
今回の研究は、もっぱら生存に必要なカロリーと、大気中に放出されるすすの影響のみに注目したものとなっている。カロリー摂取量は人間が必要とする栄養のごく一部にすぎないため、今後の研究では人間の健康に必須のたんぱく質や微量栄養素への影響も考慮する必要があると研究チームは述べている。
また、核戦争の結果は「核の冬」を招くことにとどまらない。たとえば、核爆発によって大気が加熱されることで、オゾン層が破壊され、地表に降り注ぐ紫外線の量が増えるおそれもあれば、広範なエリアが放射能で汚染されて、食品を生産するのに重要なインフラや製品が使えなくなることも予想される。これらの影響も今後の検討課題に挙げられている。
やっぱりオゾン層が破壊される可能性は今の考え方でもあるのかな?
2008年のコロラド大学などの研究でも触れられている。
もし当初に「過大な見積もり」があったとしても、だからといって80年代の研究を全部「大げさだよ」と無視するわけにもいかなそうですね~。
池上さんとさださんの話の中だったかな、それでも現在は、冷戦真っ只中の頃よりは、米ソ、じゃなかった米ロの核弾頭の数はだいぶ減っているそうです。図解が出た。
でもイスラエルを含め、認めていないが実際は核兵器を持っているんじゃないかと言われてる国々もあったり、冷戦時と違うリスクがある。
何にせよ、各国首脳には「核戦争に勝者はない」と考えていただきたいですね。昔の映画の「ウォーゲーム」のように。
(死んでも勝ちたいとか思ってると困るけど)
あの映画も1983年か。
photoAC