図書館で借りた本です。
『世界SF会議』
新型コロナのパンデミックをどう見ているか、アフターコロナの世界がどうなると考えるか、etc. SF作家たちが語り合ったもの。
こういう番組があったのを知りませんでしたが、フジテレビ系関東ローカルの深夜番組として3回に渡って放映されたものを書籍化したんだそうです(早川書房です)。
近頃民放テレビを観ることが減っているので申し訳ない、フジテレビもまだまだ面白い企画をしてくれているんですね!
詳しくないので全員知っているわけではありませんが、そうそうたるメンバー。
YouTubeでもディレクターズカット的な長いものが配信されたそうです。
これが公式のプレイリストかな。
あ、でもこれだと第2回、第3回を観られないみたい?
ご興味ある方はYouTubeで「世界SF作家会議」と検索して探してみてください。
放映された時期は以下のとおり。
1回目
放送日:2020年7月26日(収録日:2020年6月6日)
2回目
放送日:2021年1月6日(収録日:2020年12月13日)
3回目
放送日:2021年2月23日(収録日:2020年12月13日)
つい最近のようなのに、今読み返してみると、ああそうだったなあとか、今はこのときの想像よりも意外と、とか興味深いです。
コロナ流行が多くて移動制限のあった頃ですから、リモートで開催されていて、海外作家は第3回目の陳さん(チェン・チウファン)さんが同時通訳付きで出演、それ以外はVTRでコメントを寄せています。
小松左京さんの過去のコメントも収録されていて興味深い。
司会がいとうせいこうさん、顧問が大森望さんなんですが、3回とも大御所・新井素子さんが出演されています。すごいな。
各参加者のみなさん、いろいろ興味深いことを話してらっしゃるんですが、新井素子さんは言うことの切れ味が違うと思いました。
さすがだなあ。
動画で見ると会話のノリがわかってさらに興味深い。
キム・チョヨプさんは『世界の果ての温室で』を読んだので興味があります。韓国の若い女性作家です。
まだ読んでいませんが、邦訳されて話題になったという短篇集『わたしたちが光の速さで進めないなら』が図書館にあったのでこれも今回借りてきました。
中国や、中国系の現代のSF作家たちも出ていて興味深いです。けっこうSF界でビッグな人たちがいるんですねえ。
SF作家としての目線だったり、「小説としては」という観点の発言だったりなので、ネットや今風の「真面目な」人たちからは「何を言ってるんだ!!」と怒られそうな内容もありますが、語弊を恐れずに言えばとても“面白い”です。
皆さん、けっこう笑いをまじえてのトークだったんだな。楽しそうだし。
でも真面目に人類の未来を考えてあれこれ想像していますよ。
これ、深夜で関東ローカルだけど民放の地上波で放映したんですよね? すごいわ。
・・・あ、でも地上波バージョンは真面目な討論番組としてきっちり編集されていたそうです。YouTubeのほうが討論部分をほぼノーカットで収めてTVバラエティ色が強いと。>大森望さん「後記」より。なるほどね。
新井素子さんいい人だなと思うのが、「コロナにかかった人が悪いわけではない。どんなに注意していても運が悪ければ感染するんだから、あやまらなくていい」と力説しているところ。2020年6月、7月の時点で。
いい人というか、冷静なのかな。
YouTubeで見られるから本をあえて買わなくてもいいのかも!?しれませんけど。
しかし書籍化されていたからこそ、動画の存在を知ることができたのですけれど!
書籍の後記(大森望さん)によると「動画でカットした部分まで復活させて、読める討論本としてさらにブラッシュアップ」されているそうです。動画はほぼノーカットでも、完全ノーカットというわけではないんですね。
(確かに本と動画で多少文言が異なるところがあります)
そして短いコミック作品が3作品収録されています。どれも良かった。SF好きにはおすすめ。
YouTubeでもナレーション付きでコミック部分を観られますが、マンガ的に本で読んでみて良かったです。