マーケット概況
消費増税延期のための、解散総選挙の実施が現実味を帯びてきました。
先々週に、本ブログにて、
今、消費増税をやるべきではないとの意見を持つ、
ポールクルーグマンなど、学者の意見も取り入れてみては?
との記事を書いたのですが、
安倍さん、なんと、本当にポールクルーグマンを官邸に呼んで、意見を聞いたようです。
いずれにしても、このまま安倍さんが、消費増税を延期する決断をすれば、
日本経済の再生と成長にとっては、非常に良い方向に進みそうです。
財務官僚や日銀の黒田さんといった抵抗勢力からの風当たりは強くなるのかもしれませんが、
これを跳ねのけてでも、アベノミクスを成功に導きたいという、
リーダーとしての安倍さんの決断には、拍手を送りたいところです!!
この結果、
ここ1週間の日経平均株価も持ち直し、やっとのことで、
リーマンショック前の高値付近まで戻してきました。
2%のインフレターゲット政策は2%増税するのと同じ
ところで、アベノミクスは、2%のインフレターゲットの設定による、デフレ脱却を目指しています。
これは、かなり前、民主党政権の時代に、日本は財政を再建するために、
3%程度のインフレを目指すべきだと、本ブログで書いたのですが、
それはなぜかというと、
2%のインフレにより、お金の価値が毎年2%ずつ下がるので、
① 政府の債務の価値が毎年2%ずつ目減りする。
② 同時に、日本の貯蓄の価値が、毎年2%ずつ目減りする。
つまり、企業や家計の貯蓄が、毎年2%ずつ政府債務と相殺されてゆくことになります。
これは、インフレ政策が、実質的に、
企業や国民が、政府に税金を納税している状態と、同じことであるということです。
したがって、
一国が、デフレ下で、政府の債務が多く、国民の貯蓄が多い状況下で、
インフレ政策を取ること自体、増税することと同じことであると考えています。
そして、インフレという増税策は、長期的にその国の経済をも活性化し、
政府にとって、さらなる経済成長による税収増も期待できるのです。
しかし、消費増税という、小手先の税収増化策では、
消費が低迷し、経済が停滞し、逆に税収が減少してしまうリスクさえ、存在するのです。
現在の日本の経済状況と、アベノミクスの方向性というコンテクストから考えると
消費増税は、「木を見て森を見ず」といった政策ではないかと考えています。
経済は、生き物です。
企業経営でも同じですが、
経営者がどんなに優秀で、良いアイデアやイノベーションや技術を持っていたとしても、
企業の経営環境に適応できなければ、その企業は生き残ることはできず、倒産してしまうのです。
生物学の世界と同じだと思います。
強くて優秀な種が生き残るのではありません。
環境変化に適応できた種が生き残るのです。
企業戦略とは、まさに、企業の経営外部環境変化への適応のことなのです。
政府においても同じだと考えていて、
いかに優秀な官僚がいて、良い政策アイデアがあったとしても、
それが、現在の外部環境というコンテクストに適合していなければ、
それは、誤った政策となってしまうのだと思います。
したがって、
現在すでに、消費増税3%+インフレターゲット2%で、
合計5%の増税政策パッケージとなっているわけです。
ここに、さらに、消費増税2%を行えば、合計で実質7%の増税となります。
一気に、7%の増税に耐えられるほど、
まだ、日本経済の成長力は強くないのだと考えています。
ひとまずは、消費増税は先送りして、
アベノミクスの第3の矢、経済成長戦略に注力し、異次元の政策プランを提示&実行し、
経済成長の成果を出してゆくことが、現時点での最優先課題ではないかと考えています。