日経平均VI(ボラテリティーインデックス)と日経平均株価 (日本経済新聞社Web資料より抜粋)
ボラテリティー(ベガ)のみを売買する
前回の、「保険を引き受けてみる」で、ネガティブガンマのダイナミックヘッジのポジションを紹介しました。
ネガティブガンマのダイナミックヘッジは、
① デルタと、ガンマは、先物を売り買い調整して、常にデルタニュートラルにする。
② ボラテリティー(ベガ)とタイムディケイ(セータ)からは、収益獲得を狙う。
という、ポジションでした。
ここで、
時々刻々と変化するデルタを、先物を売り買い調整して、デルタニュートラルを維持するのは、
結構大変なオペレーションです。
そこで、原資産レートの動きを全く無視して、
ボラテリティーだけを取引できるのが、ボラテリティーインデックス先物です。
しかも、
ボラテリティーだけの取引かと思いきや、
オプションプレミアムのタイムディケイと同様、時間経過により価格が減価しますので
売りポジションで運用すると、この減価から、収益をねらうことができます。
ボラテリティーインデックス
現在、ボラテリティーインデックスは、次の方法で取引ができます。
① 日経平均VI先物
② VIX指数先物 (米国市場のみ)
③ 日経平均VIのETN
④ VIX指数のETF
これらを利用すると、原資産レート変動に関係なく、ボラテリティーのみの取引ができます。
ボラテリティーインデックス先物の価格は時間経過により減価する
日経平均VI先物の期間構造 (大阪取引所資料より抜粋)
ボラテリティーインデックス先物は、オプションプレミアム(時間価値)と同様、
時間経過につれて、減価します。
オプションプレミアム オプション価格自体が時間と共に、タイムディケイします。
権利行使日には、オプションプレミアムはゼロとなります。
ボラテリティーインデックス先物 ボラテリティー指数先物価格が時間経過につれて、減価します。
SQ日には、ボラテリティーインデックスの値に収束します。
その理由は、ボラテリティーインデックス先物が、上記の大阪取引所の説明図にあるように、
平時は、その期間構造が、アップワードスローピングの状態になるためです。
すなわち、
期先のボラテリティーインデックス先物のほうが、期近の先物よりも、
高く取引される傾向があるからです。
注)
ボラテリティーインデックス先物の理論価格計算式が公表されていないのでわかりませんが、
おそらく、各限月のオプション価格を使って先物の平均インプライドボラテリティーを計算しているため、
期先の先物のほうが、高くなるのだと思われます。
しかし、
直近で、現物資産レートが調整下落などで、ボラテリティーが跳ね上がっているときは、
ダウンワードスローピングの状態になるため、逆の構造となります。
いずれにしても、ボラテリティーインデックスの、先物や、ETN、ETFは、
この期間構造のため、平時は、時間経過につれて減価するので、
これを利用して、取引をするとよいでしょう。
まとめ
ボラテリティ―インデックスの特徴は、次のとおりです。
① ボラテリティーインデックスの先物は原資産レートに関係なくボラテリティーのみ売り買いできる。
② オプションプレミアムのタイムディケイ同様、時間経過により減価する。
利用方法は、ネガティブガンマのダイナミックヘッジとほぼ同様で、
① ボラが跳ねあがった後に、売りで入り、ボラの低下による収益をねらう。
② 同時に、時間経過による減価による収益をねらう。
また、
③ 原資産の調整下落時に短期で、買いで入り、プットオプション売りのボラテリティーヘッジとして使う。
といったような使い方が考えられます。
オプションでは、ボラが跳ねあがった後、ボラの下落をねらう場合、
ストラングルスワップや、リバースカレンダースプレッドなどの戦略の構築が必要ですが、
ボラテリティーインデックスは、原資産レート変動に左右されずに、
純粋にボラの下落をねらうことができますね!!
ただし、現状、以下の問題点がありますので、利用時は、注意が必要です。
① 日経平均VI先物は、流動性が低いため、取引がやりにくい。
② 日経VIのETNは、信用売りができない。
③ また、VIX指数のETFは、信用売りで、大きく逆日歩が出ることがある。