欧州首脳会議が終了し、とりあえずの成果として、
EMS(欧州安定メカニズム)から、直接、資本注入ができるように合意がされたとのことです。
つまり、ひとまず、ユーロ各国が財政支出なしで、ユーロ圏の巨大銀行の破綻を防ぐしくみができました。
これは、米リーマンショックの時のように、巨大銀行破綻による、世界的経済危機を防ぐためのものです。
米リーマンショックの時は、リーマンを破たんさせてしまったので、危機が世界中に及びました。
金融機関は、全産業のインフラであったため、危機は、全産業におよび、国際的な金融ネットワークを通じた、ドミノ倒し(システミックリスク)により、経済危機は、世界に及びました。
米国政府が、さらなる破綻を防ぐために、大手の金融機関に、資本注入を行ったのは、この後のことでした。
今回、ユーロは、破綻前に、とりあえず、経営危機の銀行に、資本注入の手当てができる、しくみを整えたことになります。
これを受けて、世界的に安心感が広がり、日経225、NYダウなどの株価が上昇し、為替では、ユーロが上昇しています。もし、これで、ユーロ圏の大手銀行の破たんを防ぐことができれば、ユーロ発の、大幅な株式&為替の暴落というのは、今後、防げるのかもしれません。
しかし、これは、まだ、ユーロ再生に向けての、始まりにすぎません。
リーマンショック後の米国が、いまだ、景気回復に向けて、もがき続けていることから考えても、
ユーロの低迷は、まだまだ、続くのではないかと考えています。
ユーロ圏は、緊縮財政が必要という方針を出していますが、
当面、米国同様、ユーロも財政支出による成長と、さらなる金融緩和が行われるものと思います。
そして、ユーロが金融緩和を拡大すれば、
最近の、米ドル同様、中長期的に、通貨ユーロは、ユーロ安のトレンドをたどるのではないかと考えています。
p.s.
しかし、この資本注入のしくみが機能するまでには、まだしばらくかかるそうです。
ドイツのメルケル首相は、「資本注入の開始は、1年ほどかかることもある」と発言しています。
はたして、ユーロ圏の銀行が、破綻するまでに、間に合うのかどうかというところが、心配なところです。